謎のカラスを追う―頭骨とDNAが語るカラス10万年史

カラスというと、ちょうどこの秋の時期は「繁殖期」にあたり、特に威嚇・攻撃が先鋭化する。私も小学校時代の時に学校の中に森が存在しており、秋になると「カラスに注意」と言った札が見られるようになった(実際にこの時期、カラスに襲われたことがあった)。それだけでなく、カラスというと、ゴミをあさるような事もあり、なおかつ迷惑をかけるような事も日常茶飯事のように行っているという。

しかしカラスにも種類がたくさんあり、日本でよく見られる「ハシブトガラス」はカラスの一種である。本書は謎のカラスを追っているのだが、取り上げるカラスは、この「ハシブトガラス」のルーツとなっている。

第1章「初めての樺太(サハリン)」

本章で取り上げる「樺太(サハリン)」は北海道の最北端、稚内の宗谷岬から、樺太島の最南端まで、およそ43㎞ほど先にある島である。元々日本ではポーツマス条約調印以降、北緯50度以南の所(通称、「南樺太」と呼ばれる)が日本の領土として扱われた。その後大東亜戦争により、ソ連が実効支配して、現在は実質的にロシアの領土となっている。

その樺太にいるカラスはどのようなカラスであり、どのような生態なのか、そのことについて追っている。

第2章「南北1000キロの島を一往復したカラス採集行」

樺太島は南北あわせると約948㎞、きりよく見ると1000㎞にも及ぶ。そのような長い距離の中で何日もかけて一往復し、カラスの生態を追いつつ、カラスを採集するという毎日を送った、その日誌を取り上げている。本章にも言及しているのだが、この樺太島一往復したのは今から13年前となる2007年のことである。

第3章「ご破算」

幻のカラスのルーツを追うべく、サハリンで採集したカラスをもとに、謎のカラスを追おうと分析を行ったのだが、ルーツが全く見つからず、研究における計画が頓挫してしまった。その一部始終を取り上げている。

第4章「コンコルドの失敗か?」

失敗に終わった後、今度はロシア本土に渡ることとなり、広い国土の中でカラスのルーツを追うべく、採集や研究を行っていくようになった。2009年の話である。大陸の中でカラスの雛やスポットなどを取り上げていきながらハシブトガラスの中にある、幻のカラスを追っていった。

第5章「頭骨小変異と係数倍で謎が解けた」

樺太島、そしてロシア本土と採集してきたカラスと、日本にあるカラスをもとに形態・遺伝子などの分析を行い、謎のカラスを追った足跡を取り上げている。

第6章「学際協力」

学者たちの支えもあって研究を進めていたのだが、対立や新しい結論など様々な状況から謎のカラスを見出そうとしたのだが、その結末を綴っているのが本章である。

本書はあくまで謎のカラスを追うための研究のプロセスを綴っている。日本によくいるハシブトガラス自体には二種類の亜種がおり、その亜種がどのような生態であり、亜種との交錯による謎のカラスは存在するのか、結論から言うとらしき生物はいたようだが、まだ研究を重ねていく必要があるという所にとどまっている。

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