崖っぷちパラダイス

「サバイバル」と呼ばれる状況は、いつの世も起こる。本書は女性たちのサバイバルであり、フリーランスという収入が不安定な状況であり、なおかつ独身(シングル)であり、なおかつもう40代といった、本当の意味で崖っぷちの状況である。しかしそれでもまだマシな方である。

本書に出てくる「崖っぷち」はさらに多忙化、親の介護などが入ってきており、本書の帯にはヘレン・ケラーよろしく「三重苦」と言う言葉があるのだが、それでは済まされず四重苦にも五重苦とも言えるような状況である。

そのような状況であっても、結婚への願望を持ちながらもひたすら仕事に打ち込む。しかしその打ち込んでいく中で次々と襲うトラブルが何とも「女性」であるが故の苦しみをものの見事に映し出しているという他ない。もちろん男性も晩婚化しており、なおかつ結婚そのものが幸せかというとそうではない家庭もおり、私自身は結婚も恋愛もしたことがないのだから答えられない。しかし結婚を含めた本当の意味での「幸せ」を求めて戦い続けている女性の姿は境遇は違えど、魅力的だったことには違いない。