くらしの活銅学―健康と衛生に不可欠なミラクルミネラル

私たちの生活の中で金属は切っても切れない関係にある。本書は「銅」について取り上げているのだが、例外なく親しまれている。その身近な存在である銅が、いかにして親しまれているのか、食生活や衛生、そして生活の中の歴史とともに紐解いている。

<食生活と銅>
「銅」というと食器や道具を取り上げているのかと思ったら、実は栄養素の一つとして挙げられることがある。どういったものがあるのかというと「チョコレート」や「牡蠣」「穀類」「木の実」といったものが挙げられる。「銅」という栄養素には、成長を促したり、運動の能力を維持したり、高めたりすることができる。
その「銅」という栄養素は食品のみならず、銅製の調理器具や食器を使って摂取するという方法もある。

<銅と健康>
鉄が不足した場合には貧血になる要因になるのと同じく、銅が不足した場合はカルシウムをいくら摂取しても骨に吸収されず、骨の成長ができなくなるだけではなく、もろくなってしまう。ほかにも鉄分と同じく貧血の要因にもなるのだという。最初の<生活と銅>の中でも銅の効能について取り上げたのだが、ほかにもメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の改善にも役立つ。

<銅と衛生・抗菌>
テレビ番組で菌の繁殖を抑えるために「10円玉」をはじめとする銅の要素が役立つという話を聞いたことがある。そういうことから菌の発生や増殖を抑えるために衛生用品として銅そのものや、銅の粉末を使ったものが使われることがある。
本章では銅がいかに菌の繁殖を抑えるのか、そして衛星や抗菌に役立つのか、様々な菌との実験などから解き明かしている。

<銅よもやま話>
銅と人類の付き合いは1万年におよぶ。古代エジプト時代にあった墓からすでに銅製の武器が多く出土されたことが証拠である。それ以降も武器や磁器、鍵、硬貨などに使われた。現在でも銅は先述にある調理器具や食器のほかに、避雷針や楽器などにも使われるようになった。

銅は今も昔も親しまれる存在である。そのことを証明づけたのは本書といえる。今まで銅についていろいろなメディアで注目されたのだが、本書ではそれを再認識できただけではなく、銅と人間との親しみにも歴史があることを発見できる一冊である。