大丈夫、働けます。

「ダイバーシティ」と言う言葉をよく聞く。立場や状況においても尊重し、採用し、育てるといった企業の姿勢を表している。ここ最近では、身体的・精神的事情によらずに採用を行っている企業も見かけるようになったのだが、まだまだ課題が残っていると言う状況にある。

本書は障害や難病を抱えた方々だけでなく、事情により引きこもりになってしまったなど、あらゆる状況から再出発する、あるいはその手助けを行う方々の姿から、これからのダイバーシティはどうなっていくべきかを紐解いている。

1章「それぞれの再出発 ~就労して人生が変わった人たち~」

本章では引きこもり、発達障害、難病、性的志向など様々なハンディを抱えた方々が就労を行うようになれた所までを取り上げている。

2章「”人”と”仕事”をつなげたい ~就労困難者のリアル~」

日本国憲法には「三大義務」があり、その一つに「勤労の義務」がある。その勤労を行う事は必要なのだが、事情があって困難な人も少なくない。また仕事においても、やるべきことがドンドンと増えてしまい「マルチタスク化」といった風潮もある。

3章「ちょっと変わった僕の生い立ち ~仕事の原点~」

では著者自身はどのような人生を辿っていったのか、自身も網膜色素変性症によってだんだんと見えなくなり、20差台になるとほとんど見えない中で仕事を行っていた。そして独立し、現在はNPOの理事長を務めている。その長い道のりを綴っている。

4章「強みは、ひとつあればいい ~就労支援の手法(FDAの場合)~」

著者が理事長を務めるNPO法人ではどのように就労支援を行っていくのか、トレーニングの方法から、実際の面談などを明らかにしている。

5章「あらゆる人材が戦力になる ~これからのスタンダード~」

どのような立場・状況であっても「人財」になれると言い切る。また社会自体がそれぞれの人に合わせて柔軟に対応でき、なおかつ会社もまた、立場によってどのように仕事を割り振っていくか、といった動きを行う事で「戦力」になり、「財産」にもなる。

ダイバーシティをいかにして実践していくか、それは当事者だけでなく、企業もまた問われる。いわゆる「CSR(企業の社会的責任)」も然り、ここ最近ではSDGsの批准も求められるようになったのもある。また様々な立場においても、「働く」ことの喜びを知るために、門戸はだんだんと開かれている。そのことを忘れてはならず、本書を通じて、企業にしても、当事者にしてもまず「動く」ことが大切である。