商店街のジャンクション

よく着ぐるみで踊ったり、アピールしたりするようなものを見かける。本来であれば「中身はない」と言うことが失礼に当たらないのだが、ある映画ではキャラクターの着ぐるみに中身がバレたりテレビ局のマスコットの着ぐるみは、中身だけでなく、外見までボコボコにされたりといったのもあった。

それはさておき、本書は犬の着ぐるみの存在と、それにまつわる3人の男女の日常を描いている。男女3人とも着ぐるみを着るのだが、いずれも「訳あり」といった感が強く、着ぐるみを着てチラシ配りなどを通しての心境の変化を映し出している。

私自身は着ぐるみのバイトをしたことがないのだが、元々の性格が隠れて、違う「自分」に馴れた気がするという錯覚に陥るのではないかとも考えてしまう。3人の男女が色々な状況から脱するために着ぐるみになったという意味合いもあり、人生の岐路に立たされた中で、ある種の「解放」があったのでは無いかと本書を読んで思った。