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2021年7月

うかれ十郎兵衛

江戸時代後期には化政文化と呼ばれ、多くの作品が生まれ、現在でも語り継がれている。喜多川歌麿、東洲斎写楽、恋川春町、山東京伝、曲亭馬琴と名を連ねるだけでもきりが無いほどである。その人たちを世に送り出したプロデューサーの役割を担ったのが、蔦屋重三郎である。現在あるTSUTAYAはこの蔦屋重三郎をあやかって名付けられたとされる。 寛政6年(1794年)に奢侈禁止令(しゃしきんしれい。いわゆる「ぜいたく禁 […]

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

「レンタル」と言うと、今では下火になっているがCDやDVDなどが多くあった。もちろん現在でも図書館における本の貸し借りも無償とはいえど「レンタル」の部類に入る。 しかし数年前あたりから「レンタルお姉さん」「レンタルおっさん」といったものもあり、最近ではマンガ・アニメにもなっているが「レンタル彼女(恋人代行サービス)」も出てきている。 さて本書の話に入るのだが、2018年6月から「レンタルなんもしな […]

小説 しろひげ在宅診療所

医療とは何か、在宅診療とは何か、自分自身そういったことにかかったことがないため良く分からない。しかし本書を通して医療とは、在宅診療とは、そして終末医療とは何かを知り、なおかつその状況を垣間見ることができた。 もちろんそれぞれの役割について、定義までであれば、一般書でも多く出ており、書評を行ってきたためある程度わかる。しかし実際の現場はどうなのだろうか。モデルケースを見る限りでは、本当にできるかどう […]

保育園に通えない子どもたち

保育園の「待機児童」について取り上げるメディアは少し前まであったのだが、ここ最近では新型コロナウイルスや東京オリンピックのことが中心となることが多く、あまり取り上げられない実情がある。 もっとも保育園に通えないのであれば幼稚園に通えばいいじゃないかという意見もあるのだが、根本的に「幼稚園」と「保育園」には大きな違いがある。まずは目に見えないところで言うと、「幼稚園」は文部科学省管轄である一方で、「 […]

空洞電車

夢に向かって、戦場に向かって乗る電車。しかし、ある出来事によって、悲喜こもごもと入り交じった感情がいつしか空っぽになってしまった。本書はとあるバンドがメジャーデビューを果たそうとした矢先、リーダー的存在だったギター兼ボーカルが突然の死を遂げた。 その死に他のメンバーが、マネージャーがどのように受け入れようとしたのか、各メンバーごとの思いが交錯して物語として成り立っている。 しかし他人から色々な観点 […]

倒産法入門―再生への扉

新型コロナウイルスの感染拡大により倒産が相次いでいる、と言うニュースが流れるのだが、実際の統計では2020年度(2020年4月~2021年3月)では7809件で2000年以降では「最少」だった(「帝国データバンク」より)。コロナ関連の倒産もあったのだが、補助金などの緊急支援策を続々と出し、適用したことにより、倒産が抑えられたのも要因としてある。 ただ、「倒産」となると、勝手に会社を清算して良いかと […]

セゾン・サンカンシオン

「三寒四温」とは、 三日ほど寒い日が続いた後に四日ほどあたたかい日が続き、これを交互にくりかえす現象。中国北部・朝鮮などで冬季に見られる「広辞苑 第七版」より とある。日本にはおそらく縁遠い四字熟語であり、強いてあるとするならば春か秋くらいかもしれない。夏だったら「七暑」、冬だったら「七寒」と言った方が良いかもしれない。 それはさておき、三寒四温は季節の部分の他に、人のモチベーションの所でも意味合 […]

甦えれ 資本経済の力

資本主義経済は死んでいるかというと、実際にはどうなのかはわからない。ただ、少なくとも、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとした経済環境の変化が多く起こっていることは間違いない。そのような環境の中で、資本経済の復活の道はあるのか、そしてそのためにはどうしたら良いか、そのことを提言しているのが本書である。 1.「<資本>とは何か」 そもそも「資本主義」の「資本」は何かというと、 ① 事業のもとでとな […]

緋い川

「赤」という漢字は、使いようによっては「紅」にも、「緋」にも、「朱」にもなる。なぜ本書はタイトルで「緋」を使ったのか、物語の仲にあるように見える。 本書はと言うと明治時代の話であり、とある山村集落において起こった事件を取り上げている。その山村で流れる川には動物どころか人間の死体が血と共に流れるところから物語が始まる。もっともこういった話を見ると、狂気の沙汰の部分があり、都会の世間と大きくかけ離れた […]

リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来

経済にしても、産業にしても、技術にしても、様々な面で「シフト」している。特にここ最近では新型コロナウイルスの感染拡大により、否が応でも働き方の「シフト」をせざるを得ない所も出てきた。 では「生活」はというと、先述の感染拡大により「新しい生活様式」なるものが生まれ、ある意味「リビング・シフト」になっているのかもしれない。しかし実際は単純に「STAY HOME」と称し、家の中で働くまで完結するというよ […]