フーガはユーガ

双子は必ずしも性格や傾向が同じというわけではない。「一卵性」や「二卵性」関係なく、境遇はもちろんのこと、価値観、人生経験など様々なことがおりなって、一緒の2人からやがて「1人の人間」が2人と成り立つ。

しかし奇遇にも同じような境遇を受けるといったケースも少なからず存在する。そこで本書である。本書は双子が誕生日に遭遇したある不思議な現象があった。それを武器に悪に立ち向かうという、ある種のロールプレイングな物語のように見える。

しかしながら「悪」とはどのような存在なのか、そして自分たちにも「悪」があるのだろうか、ということも考えさせられる。また本書のタイトルも主人公の「風我」と「優我」から取っているように見えるが、物語を進めていくと「Who」と「You」といった表現にもなる。タイトルの「見方」が色々な側面で変わるほど、双子の境遇と心境が入り交じり、不思議な感覚に陥る一冊であった。