鷹の城

本書はタイムスリップものであるが、かなり意外なタイムスリップをしている。通常であれば、現代から戦国時代や江戸時代、あるいはその逆をイメージする方も多い。しかしながら本書は江戸時代の奉行所が戦国時代にタイムスリップする一冊である。

時代が近いとは言えども、時代が変わると文化や考え方も変わってくる。そのギャップを愉しむことができ、なおかつその時代においてある殺人事件に出くわすこととなる。殺人事件の全容をつかむために動く奉行所同心たち、しかし戦国時代ならではの環境に苦しみながら、淡いロマンスまで描いている。

一見タイムスリップじゃないように見えて、タイムスリップ感を味わえる。またミステリーの愉しみも見出せる一冊である。しかし「タイムスリップ」を江戸時代から戦国時代に、という考え方は本書以外では見たことも聞いたこともないため、「斬新」という他ない。

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