もしも自分がそう言うような事に遭遇したら、どうなっているかは分からない。少なくとも近くの所にてヘビに出くわしたことがないから、驚くのと同時に逃げ出す、あるいは固まってしまうことがオチになってしまう。もっとも大蛇が図書館でうろついていることを想像してしまうと、話を聞いただけでも行きたくなくなる。
それはさておき、本書は鳥取環境大学の講師が同大学における動物の生態研究を綴った一冊であるが、色々な動物に出くわしている。ちなみに本書は鳥取環境大学における「先生!」シリーズの最新作であり、毎回ユニークさが溢れている。
<ヘビ好きの二人のゼミ学生の話>
昨年春に卒業したある学生2人は共通して「ヘビ好き」であるという。いかにヘビーな思考かというのは置いておき、ヘビの生態について研究をしてきた2人のゼミ生がどのようなテーマで研究を行い、なおかつヘビの良さをどのように伝えたのかを取り上げている。
<ニホンモモンガはテンを大変怖がる!>
ニホンモモンガがテン(イタチ科の動物で、日本ではホンドテンやツシマテンなどがいる)を怖がると言うことはあまり知られていないが、そもそもなぜ怖がるのかもまた謎である。モモンガがテンを怖がる傾向について行動にて追っているのが本章である。
<Ktくんはニホンアナグマの研究をしている>
よくある動物の名前に「狢(ムジナ)」があるのだが、そのムジナを指している動物の一つとしてアナグマがいる。主に里山に生息しているイメージがあるのだが、実は著者の大学にも日本アナグマの巣穴があり、生息しているという。そのニホンアナグマがどのような生態なのかの実験も本章にて行われている。
<ユビナガコウモリはぶら下がって休息するとき、優位個体が劣位個体の背後に乗る!?>
コウモリというとネガティブな印象が強いのだが、本章で紹介するユビナガコウモリはそのイメージを大きく覆すには十分な動物と言える。なぜかというとユビナガコウモリの拡大写真が本章では多数紹介されており、物語っているためである。
<大学のノベルティ(記念品)とモモンガグッズ>
大学によってはノベルティなるものが存在しており、著者の大学でもノベルティがある。それはよくコップなどを敷くための「コースター」であるのだが、よくあるコースターとはひと味違う。なぜひと味違うのか本章にて取り上げている。
<ホバとの出合いを思い出させてくれた鳥との出合い>
以前の「先生!」シリーズでも有名なドバトの「ホバ」のその後を取り上げている。初めての出逢いから、事件を経てホバとのつき合いはどのようだったのかのエピソードを綴っている。
<鳥取環境大学のヤギの群れのリーダーは………>
鳥取環境大学には広大な土地があり、そこでは色々な動物がいる。ヤギも例外ではないのだが、そのヤギを育てるための牧場もあるのだという。そのヤギがどのように群れ、どのようにリーダーが決まるのか、その生態を追っている。
著者の専攻は「動物行動学」であり、様々な動物の行動を追っている。その追った記録のほとんどが「先生!」シリーズにあるのだが、その行動を知るたびに動物のこと、そして動物の行動そのものに興味を引かせてくれる。その「先生!」シリーズは第1弾が発売されたのは2007年の「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」である。あれから12年、変わらず動物とその行動の面白さを提供してくれる。
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