思考の教室―じょうずに考えるレッスン

巷の本屋に行くと、ビジネス書のコーナーにて「思考術」なるものは沢山ある。ロジカルシンキングやラテラルシンキング、クリティカルシンキング、インクレーディブルシンキング、など手法を挙げるだけでも枚挙に暇がない。もちろんビジネスも含め様々な場において「考える」ことは大切であるのだが、その考える手法はある種の「引き出し」に通ずるものがあり、今ある知識や情報からどのように分析して、仮説や解を導き出すかの材料にもなる。

しかし思考方法をいくら持ったとしても実際にそれを使ってみないことにはどうしようもない。本書は「どのように」思考を行っていくのか、よくある思考法を実践的に伝授している。

Ⅰ.「基礎編──じょうずな思考の入口は、「論理」で開かれる」

先日も引き合いに出したのだが、フランスの哲学者であり、数学者であるブレーズ・パスカルが、

人間は考える葦である

と言う言葉を残している。そもそも人間は感情だけでなく、「理性」があるために、考えるという力を持っている。その考えることはどのように行うかはロジカルやラテラルをはじめとした手法は数多く存在する。しかしどのように「使っていく」べきか、また使い方を間違えるとどうなるのか、本章は基礎編としてどのように使っていくかをロジカルシンキングを引き合いに出して取り上げている。

Ⅱ.「実践編──生まれながらのアホさかげんを乗り越える3つのやりかた」

私自身、「思考を行う」事を「焚き火」を引き合いに出している。ちなみに思考術は着火剤を表し、知識は薪を表している。そこで生まれる炎が思考における産物を表している。薪がないと一瞬でしか燃えず、また薪が多すぎても炎が出ず、くすぶってしまう。

知識や語彙などの薪はある程度持つべきで、それは本などを含めて情報を集め、どのように思考で組み立てて行くか、文章構成から、解釈に至るまで、実践編に相応しく体系的に取り上げている。

本書は思考術ではなく、むしろ「思考実践術」である。せっかく学んだ思考法をいかにして実践していくのか、またなぜ思考をするのかの基礎を学びつつ、ビジネスや学問の場において、どのように使っていくかが詰まっている一冊である。