采女の怨霊

采女は表紙にもある通り「うねめ」と読む。采女とは、

古代、郡の少領以上の家族から選んで貢進させた後宮の女官。律令制では水司・膳司に配属。うねべ。「広辞苑 第七版」より

とある。本書は民俗学者が「采女」の謎を解き明かすために、古代の歴史を紐解くべく、奈良の地へと降り立った。そこには「采女神社」と呼ばれている実際にある神社に赴き、采女の謎を探ると言う物語である。

実際に「采女」は奈良時代において伝説として存在しており、その采女が祀られているのがこの采女神社である。ちなみに采女神社は奈良市だけでなく、福島県の郡山市にも同名の神社が存在しており、奈良とはまた異なる采女伝説が語り継がれている。

それはさておき、奈良時代における采女伝説がどのようにつくられ、語りづがれて行ったのか、本書はミステリーのタッチで描かれているのだが、謎多き歴史を紐解くというロマンが1冊にしたためられているため、歴史好きに取ってはたまらな一冊と言える。