哄う北斎

絵画をはじめとした美術品には、何とも言えない美しさと魅力が備わっている。特に歴史的な作品となると価値は跳ね上がり、「高貴な収集」「贅沢品」といった見方もするようになる。また中には、美術品を高値で取引を行うような方々もいる。

本書はその美術にまつわるミステリーである。とある悪徳美術商と実業家、さらには美術集団とのせめぎ合いを描いているのだが、よくあるミステリーとは異なり、カネの行方、さらには美術品の行方を追うと言ったものが中心で、それぞれの立場における「心理戦」が描かれている。

ミステリーにも事件などもあれば、会社や団体などの「カネ」や「情報」の取引における心理戦などもある。本章は後者を表しており、なおかつ美術品のこだわりが散りばめられており、美術品が好きな人にとってはたまらない作品に仕上がっている。