噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる

日本では火山をいくつも抱えている「火山大国」と呼ばれている。また日本に限らず世界各地にて火山があり、中には噴火をしている所もある。

今年もいくつかの山などで火山噴火があったのだが、特に強いものとしては1月15日にあったトンガの「フンガ・トンガ噴火」がある。トンガ国内では甚大な被害を及ぼしたほか、日本でも津波が発生するなどのことがあった。

本書はこの火山噴火は地球における「気候」に大きな影響を及ぼすのだが、果たしてどのようなコトが起こるのか、本書は火山噴火の歴史と共に紐解いている。

第一章「富士山は噴火するのか」

日本一標高が高く、「霊峰」と言われる富士山。観光客も後を絶たない。しかし富士山は「火山」であるため、噴火の危険性もはらんでいる。実際に過去に何度か噴火があったのだが、最近の噴火は江戸時代における1707年に「宝永大噴火」が起こったのが最後となる。この噴火以降は兆候がわずかに見られたくらいであるが、もしも噴火が起こった場合のシミュレーションはもちろんのこと、そのための災害対策も進められている。

第二章「「火山の冬」と気候変動」

「火山の冬」と言う言葉はあまり聞き慣れないのかもしれないが、ごく最近起こったケースがある。1991年にフィリピンのルソン島にあるピナトゥボ山が大規模噴火を起こした。この噴火により、この年の北半球の平均気温0.5~0.6℃下がったとも言われている。遠因になってくるが日本でも2年後の1993年に、記録的な冷夏に見舞われ米騒動にまで発展した。

他にも1815年にインドネシアのタンボラ山にて大規模噴火があり、翌年の1816年はヨーロッパ・アメリカ大陸にて「夏のない年」と言われるほどの大冷夏ともなった。そのため「火山」と「冬」の関係は深い。

第三章「文明を崩壊させたカルデラ噴火」

大規模噴火は気候に多大な影響を及ぼすばかりで無く、噴火の起こった地域によっては文明そのものを崩壊してしまうほどの噴火もある。このような噴火は本章のカルデラ噴火はもちろんのこと、次章で取り上げる破局噴火も同様にある。本章ではカルデラ噴火の代表として紀元前16世紀にあったミノア噴火を取り上げている。

第四章「悪夢の時限爆弾―破局噴火」

アメリカ地質調査所およびハワイ大学にて定義づけられた「火山爆発指数」がある。度合いは0から8までの9段階があるのだが、その中で最も高い「8」が「破局噴火」と定義している。実際に破局噴火は地球の歴史では何度か起こっているが、いずれも紀元前の事であり、何万~何億年もの前の事である。それだけの古さであれば起こらないだろうと思いがちであるが、災害はいつ何時来るのかわからない。その来るべき破局噴火への対策も立てる必要がある。

地震や台風といった災害が近しい部分があるのだが、火山噴火もまた日本でも起こりうるものである。8年前におこった御嶽山の噴火により58人もの犠牲者が出た。そのためこの火山噴火の歴史を見つつ、もしも災害が起こった場合の備えを考え、行動することもまた一つ大切なことである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました