トカイナカに生きる

少しの本にて、首都圏から会社や人が地方に流出しているということを書いた。もっとも先日には政府が首都圏から地方移住を2027年度までの目標を掲げたというニュースがあった。実現ができるかどうかは不透明だが、首都圏から地方へという動きは加速している。

その一方で、「トカイナカ」と呼ばれる地域に移住し、働くという動きもある。「都会」「田舎」を合わせているのだが、都心から電車などで少し移動した郊外の地域を指している。そのトカイナカでどのように生き、働くのか本書はそのことについて取り上げている。

第1章「トカイナカで生き方、働き方を変える―神奈川県鎌倉市、長野県軽井沢町」

第1章でいきなり私の住んでいる所を取り上げられるとは思ってもみなかった。最も私の住んでいる鎌倉が「トカイナカ」というのは首をかしげてしまう。しかしながら鎌倉には独自の地域活性化の対策を行っている。同市に本社を構える面白法人カヤックの取り組みを中心に取り上げている。またもう一つ避暑地として有名な長野県軽井沢町におけるダブルワークの動きにも言及している。

第2章「トカイナカでローカルプレイヤーになる―千葉県富津市金谷」

千葉県の南部にある富津市。箱根駅伝の特集でも幾度となく取り上げられているほど駅伝や長距離走の合宿で人気の場所でもある(当然高校・大学・実業団、男女関係なく)。この富津において「ローカルプレイヤー」としてフリーランスにて活躍する若者たちがおり、本章ではなぜトカイナカで働くのかを追っている。

第3章「トカイナカで起業する―埼玉県ときがわ町」

埼玉県の中部にある比企郡の一つときがわ町。元々は玉川村と都幾川村が2006年に合併した町である。このときがわ町にて起業を行う人、いわゆる「起業家」が次々と現れる町となっているという。のどかな自然も溢れながら、起業家が集まることにより、相互で相談を行ったり、仕事を持ちかけたりする動きもある。

第4章「トカイナカで古民家暮らしをする―千葉県匝瑳市、埼玉県ときがわ町」

「トカイナカ」の中には古き良き場所も存在する。特に「古民家」は、「古民家暮らし」をする方々で人気である。千葉県匝瑳(そうさ)市や前章にて取り上げた埼玉県ときがわ町もその一つである。

第5章「トカイナカでよそ者力を発揮する―千葉県いすみ市」

特に「田舎」になればなるほど独自の「ムラ」があり、中にはよそ者を排除する動きも少なくない。しかしトカイナカに住む人の中には「よそ者」であることを力にして、新しい風を呼び込む人もいる。千葉県いすみ市にてその動きを行っている人を本章にて取り上げている。

第6章「トカイナカを六次化する農業―埼玉県小川町・ときがわ町一帯」

トカイナカもそうだが、田舎になってくると特に「農業」が盛んに行われる所も少なくない。本章では特に比企郡のうち、小川町やときがわ町一帯における農業の活性化を取り上げている。

「トカイナカ」と呼ばれる地域はけっこう存在しており、都市部からも交通の便が良い所も少なくない。会社勤めで都市部に行き、プライベートは自然と愉しむという動きもある一方で、トカイナカで仕事を行う、起業する人もいる。本書は関東圏が中心だったが(一部軽井沢町があるが)、それが全国各地に伝播していくことによって、本当の意味で地域活性化につながるのではないだろうか。

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