深海の寓話

定年になると様々なチャレンジをしたくなる人もいる一方で、リタイアとして余生をただ過ごすだけの人がいる。本書の主人公は元刑事で静かな余生を過ごそうとするのだが、ある事件に巻き込まれ、様々な人物と親交を深めることとなる。

その親交を深めた人々との間に主人公と同じように様々なキャリアから一線を退き、リタイアの人生を歩むこととなった。しかしそのリタイアをした人々と、事件に巻き込まれた犯人の人々との間にはドス黒いような思惑がうごめいていた。

そのうごめく中で組織を辞めていても、働く中で活躍したいという思いとロマンが溢れている。たとえそれがリタイアし、年老いていてもそれが変わらないと言うことを本書でもって教えてくれる。本書はミステリーでありながら、どんなに年を取ったとしても希望があり、ロマンがあれば追いかけていけると言うことを知ることができるきっかけとなる。