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文学

離れがたき二人

本書はフランスの作家であるシモーヌ・ド・ボーヴォワールが描いた小説であるが、シモーヌ自身生前発表していなかった作品であり、推測の域であるが、50年以上前に作られて、ようやく発表された一冊である。著者自身も1986年に逝去しているため、没後35周年の節目として発表されたものとも考えられる。 著者の話に入ってくるが、シモーヌ・ド・ボーヴォワールはフランスを代表する作家で、なおかつ哲学者であった。また昨 […]

ラスト・タイクーン

フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド(以下:フィッツジェラルド)はヘミングウェイやフォークナーと並び、20世紀を代表するアメリカ文学の作家の一人である。代表作として「グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー)」がある。 そのフィッツジェラルドが1940年に逝去するのだが、その最後の作品であり、未完の作品であるのが、本書である。フィッツジェラルド自身は途中まで描き、またプロット自体は最後ま […]

文学こそ最高の教養である

よく「教養」と言う言葉を目にする。「教養」とは辞書で見てみると、 「1.おしえそだてること。  2.社会人として必要な広い文化的な知識。また,それによって養われた品位。  3.単なる知識ではなく,人間がその素質を精神的・全人的に開化・発展させるために,学び養われる学問や芸術など」(「大辞林 第四版」より) とある。解釈によっては1.にもなり、2.にもなり、3.にもなるため、一概に「これだ」と言うこ […]

危険な「美学」

「美学」と言うとセンスや雅といった表現が用いられる。もちろんその美学を通して、感性が伝わり、私たちに届けられる要素がある。しかしその美学は「危険」と隣り合わせである。縁遠いように思えるのだが、実はモノ・コトの善悪を判別しづらくなり、善悪つきにくくなり、取り返しのつかないことになるのだという。そもそも美学とは何か、そして美学におけるリスクとは何か、本書ではそのことについて論じている。 第一部「美は眩 […]

アルテミオ・クルスの死

本書は今から8年前に逝去したメキシコの作家カルロス・フェンテスの代表作の一つであり、ラテンアメリカ文学のブームの火付け役となった一冊である。 上梓されたのは1962年であり、それが日本語訳されたのはその23年後にあたる1985年。それから何度も翻訳され、本書の様に昨年に再翻訳された。 本書はメキシコ革命の経験を経て、経済界を生き抜いた男アルテミオ・クルスの生涯を描いた一冊である。そもそも本書が描か […]

漱石のこころ――その哲学と文学

日本を代表する文豪は数多くおり、夏目漱石もその一人である。夏目漱石が残した作品は数多くあり、国語の教科書に載るようなものも少なくない。名作と呼ばれる小説を残している漱石はどのような哲学があり、思想を作品として残してきたのか、夏目漱石が残した諸々の作品を見ながら考察を行っている。 第一章「『坊っちゃん』の諷刺」 文学作品の中には社会諷刺になるようなことも少なくなかった。「坊っちゃん」の中にもそういっ […]

ぼくはスピーチをするために来たのではありません

私自身講演やスピーチをしたことがないのだが、スピーチに対して恐怖を覚えるような「スピーチ恐怖症」と言うのがあるという。もっとも自分自身も人と話をする事が苦手だったこともあるのだが、スピーチや講演に対しては「食わず嫌い」と呼ばれるようなことなのかも知れない。 本書の話に移る。著者自身も自ら「スピーチ恐怖症」である一方で、確固たる信念を持ちながら少なげながら講演をした記録である。その講演の中では文学や […]

『レ・ミゼラブル』の世界

今からちょうど155年前に作られたロマン主義の大河小説がある。その名も「レ・ミゼラブル」。元々は「悲惨な人々」を意味している悲劇なのだが、その悲劇は小説の枠を超え、映画やアニメ、ミュージカルにも展開していった。特にミュージカルの世界では「夢やぶれて」「民衆の歌」は一つの曲として一躍有名となった。そもそも「レ・ミゼラブル」はどのような小説で、その小説を描いたヴィクトル・ユゴーの思想とは何かも併せて取 […]

史上最高に面白いファウスト

ゲーテの名作の一つに「ファウスト」という戯曲がある。表向きとしては教養人ファウストの努力の物語というのだが、錬金術から黒魔術、さらにはその知性を得るために悪魔とも契約し、欲望の赴くままに動くといった作品である。構想60年を経て作り出された戯曲は数多くの作品にインスピレーションを受けたとしても知られている。有名どころではベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ワーグナーの「ファウスト序曲」、さらには手塚 […]

動物で読むアメリカ文学案内

アメリカに限らず様々な文学があるのだが、その文学の中には作品によって「動物」が存在する。その動物は物語をどのようにして彩ったのか、本書はアメリカ文学を主軸にして物語を彩った動物たちを取り上げている。 第1章「リップの愛犬ウルフ」 「リップ・ヴァン・ウィンクル」は19世紀ごろにワシントン・アーウィングによってつくられた短編小説集であるのだが、その短編小説の中に「新世界の浦島」と呼ばれるところに「ウル […]