「自己啓発」は私を啓発しない


「自己啓発」という本や教材、セミナーは今も昔も存在する。人間関係や仕事について悩む人が、藁もすがる思いでありつくものである。自分自身も「自己啓発」に関する本を読み、書評をしたことはあるのだが、あくまで「心構え」を知るだけで、それを実行して、実感を得たことはほとんどなかった。
著者は、「マグロ船」で有名な方であるが、「マグロ船」に乗る前後で人間関係に悩み600万円もの大金をつぎ込んだという。しかしつぎ込むも空しく自分自身も、回りも変えることができなかった。
その実体験をもとに、今「自己啓発」にはまり続けている人、いわゆる「自己啓発難民」にある人への処方箋として、本書にて赤裸々に語った。

第1章「人間関係に悩み、自己啓発にハマる」
入社した当初から、上司との人間関係と自分自身の能力に悩んだ。その悩みを解消すべく、様々な教材やセミナーにすがり始めた。しかし悩みは解消されない。しかしその「悩みが解消されない」と気づいたときから、「自己啓発」にのめり込み続ける序章に過ぎなかった。

第2章「次々と自己啓発をくりかえす日々」
自己啓発セミナーに高い金を払って参加し、学びは得たものの、結局「何も変わらなかった」。
そして、上司から「マグロ船」にいくよう指示された。そのマグロ船から得たことについては処女作である「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」など数多くの本で記されている。
ふと気付いたが、処女作は本書と同じマイナビ新書である。そう考えると処女作からの縁が本書を出版に至ったきっかけにもなったのかもしれない。

第3章「自主開催セミナー・異業種交流会・ネットワークビジネス」
そのマグロ船の体験からコミュニケーションにまつわる講師をするようになった。その間も異業種交流会などのイベントにも参加したのだが、その「異業種交流会」のイベントには様々な人がいる。時には個別に保険やネットワークビジネス、さらには宗教の勧誘まで存在する。
私自身もセミナーや勉強会に顔を出すが、時には保険やネットワークビジネスに勧誘されそうになったこともあった。

第4章「会社を辞めて起業することに」
上司が変わっても、自分自身を変わることができなかった。その変わらない自分をと求めるがために、会社に求めてしまい、ついには会社を辞め、起業することとなった。
しかし本章には自分自身の人生観を決定付けた、ある「修行」も記されている。

第5章「講師として起業し、成功をつかむことに」
起業はまさに「見切り発車」状態だった。セミナー講師として働き始めるも、参加者が集まらない。講師の依頼が来ない日々が続き、アルバイトやボランティアの助手に奔走する日々だった。
その日々を脱するために出版の道を選んだ。しかし出版に繋がることがなかなかできなかったという。ようやく繋がった処女作は第2章のところで書いた通りである。

第6章「自己啓発から教わることはない」
著者が体験したことは自己啓発セミナーに参加し続けることで、何も教えられたことはないと語った。唯一教えられたことは「自己啓発は学校ではない」ということだったのかもしれない。
セミナーに通い続け、自己成長を続けることは間違いではない。しかしそれを行い続ける人は一握りに過ぎず、かつそれを行ったからと言って成功するわけではない。自分自身も毎月のようにセミナーに参加していたのだが、それが自分自身にとってプラスになることもあれば、自分自身の人生が成功するわけではない。あくまでヒントを得るだけで、自分自身を変えるのはいつも「自分」なのである。

前作や著者のセミナーでも少し語っていたことをすべて明かしたといえる一冊である。毎月のようにセミナーに参加し続けた私は細々とした目標と実践はあったのだが、そこに来る動機は「ただ友達を作りたいから」という不純なものだった。しかしセミナーに通い続けて気づいたことは、「自分自身でやってみないとわからない」ことにあった。著者の「自己啓発難民」の人生は多かれ少なかれ、自分自身の人生と重なるところがあったといえる。

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コメント

  1. マグロ船 齊藤 正明 より:

    一冊目の本から、蔵前さんにはご紹介いただき、
    本当にありがとうございます。

    お気づきのとおり、古巣のマイナビさんからです。

    マイナビさん、昔から、良くしててくたさっていまして。

    ある雑誌で、このネタに関する記事を見ててくださり、声をかけていただきめした。

    とてもていねいに、わかりやすく紹介してくださり、
    ありがとうございました!

    重ねてお礼申し上げます。

    • 蔵前 より:

      >齊藤 正明 さん

      こちらこそ、ご感想ありがとうございます。
      書評をしている最中に思いつき、
      調べてみたら、同じ出版社だということに気付きました。