オタクはすでに死んでいる

皆さんは「オタク」と聞くとどう想像するだろうか。
おそらく美少女アニメ好きでよく秋葉原(アキバ)に通い詰めるということを想像するだろう。しかし岡田氏に言わせれば本当の「オタク」はアキバには通わないという。

第1章「「オタク」がわからなくなってきた」
第2章「「萌え」はそんなに重要か」
第5章「萌えの起源」
岡田氏から見ると今の「オタク」は「オタク」ではないという。アニメグッズを集め、リアルタイムでアニメを見て録画をして何度も繰り返し、好きな声優のコンサートで騒ぎ、マニアックな知識で仲間たちと会話する。そこで満足してしまう人が多いことに岡田氏は嘆いている。「TVチャンピオン」の「アキバ王選手権」や「真剣10代しゃべり場」でのエピソードを交えている。そしてもう一つはよく「オタク」(そうでない人も言っているか)はよく「萌え」という単語をよく使うが、それについての意味が分からない人がほとんではないだろうか。ちなみに私も「本当」の意味はよくわかない、というよりも「本当」の意味はあるのだろうかと疑いさえする。私の仮説であるが、国語辞典での「萌える」では「芽がでる」という意味合いから、恋愛感情が芽生えることを「萌え」というのではないのか。念のためとある辞書で調べてみたらばこんな意味であったことだけ追加しておく。

(1)マンガ・アニメ・ゲームの少女キャラなどに,疑似恋愛的な好意を抱く様子。特に「おたく好み」の要素(猫耳・巫女(みこ)などの外見,ドジ・強気などの性格,幼馴染み・妹などの状況)への好意や,それを有するキャラクターへの好意をさす。対象への到達がかなわぬニュアンスもある。
〔語源は,アニメ作品のヒロイン名とする説,「燃える」の誤変換とする説など,諸説ある〕
(2)(1)が転じて,単に何かが好きな様子。または何かに熱中している様子。

第3章「オタクとは何者だったのか」
第4章「おたくとオタクの変遷」
ここでは「オタク」の意味についてちょっと説明していこうと思う。またもとある辞書からであるが、

俗に,特定の分野・物事を好み,関連品または関連情報の収集を積極的に行う人。狭義には,アニメーション・ビデオ-ゲーム・アイドルなどのような,やや虚構性の高い世界観を好む人をさす。「漫画―」
〔多く「オタク」と書く。二人称の「おたく(御宅)」を語源としエッセイストの中森明夫が言い始めたとする説が有力。1980 年代中ごろから用いられるようになった〕
中森説が最有力とみなされている。岡田氏はこうではなく「SF」からきているのではないかとされている(「SF説」)。

今では世界的にもこれで通じるようになった「オタク」であるが、そもそもは「おたく」という表記である。もっと言うと「オタク」ばかりではなく「ヲタク」という表記もある。私自身は「オタク」のもっと進んだ人のことを指すのかと推測するが。本題に戻ろう。なぜ「おたく」から「オタク」になったのか、もともと「おたく」というのは「おたく族」から来る差別用語であり、NHKでは放送禁止用語の一つになったほどである。また「おたく」は差別用語であると同時に蔑称にまでなったほどである。それの頂点となったのが「宮崎勤事件」である。このときにあるTVレポーターがコミックマーケットのリポートの時に「十数万の宮崎勤がいます」ということが問題発言となった。それほど「おたく」というのは社会的にも排除すべき人であったことが窺える。その差別を救い、「おたく」の良さを知らしめようと立ち上がったのが岡田氏である。東京大学では「オタク学入門」という講義を開き大盛況であった。その時から日本のアニメや漫画が海外に流通し始めたときであった。そこから世界中から日本のマンガ・アニメの人気が高まり、今や「クール・ジャパン」と呼ばれるほどにまでなったことは周知の通りである。いつごろから「おたく」から「オタク」になったのかというのは具体的に明記はされていないがおそらく「宮崎勤事件」以後か岡田氏が「オタク学入門」を開講した頃の間にそういった変化があらわれたのだろう。

第6章「SFが死んだ」
第7章「貴族主義とエリート主義」
第8章「オタクの死、そして転生」
オタクの意味の起源は中森説が有力であれども、オタクの体系の原点はSFから始まる。とは言ってもSFアニメからではなく「SF小説」からである。「SF小説」から「SFアニメ」そして「アニメ」という風にオタクは変遷していったと今でも私は思う。そして今やオタクは「萌え」がないということが叫ばれているが、私自身も一時期アニメオタクであった体験からしてその必要がないと思う。むしろアニメの良さと批判し合うことこそがオタクの醍醐味ではないだろうか。そこから自分が考える理想のアニメを追求し、自分で作っていって、売り込むことこそオタクの真髄ではなかろうか。

そして最後には岡田氏からオタクたちへの檄文が書かれている。私も一時期オタクであった。そこから行動は起こさなかった。今では読書オタクになっている。そこから行動は起こしているがセミナーに出る程度であるが、これからどんどん起こしていこうと思っている。