一筆箋の書き方、楽しみ方

本書は前書である「できる大人の“一筆添える”技術」の中でも一筆箋に特化した一冊である。もっともこの一筆箋に対する思い入れが強かったということから本書になったのだと私は思う。

本書はめくるめく一筆箋の魅力と、その効用と使い方について余すところなく紹介している。

第1章「一筆箋に親しもう!」
「一筆箋」と言うのは具体的に何なのかと言うと、縦18cm×横5cmの短冊型の小さな便箋である。巷の文房具店でも置いてあり、手ごろな値段で手に入ることができる。
そんな一筆箋なのだが、これがあることについて知っている人が少ないというのも悲しい事実である(正直、私も著者の前書で紹介されるまで知りませんでした)。
一筆箋は手ごろであることも理由の一つなのか、絵柄のヴァリエーションは非常に広く、季節感や和風・洋風と言うように種類が多く、季節感を出させ、筆のコミュニケーションを引き立たせる役割も担っている。
TPOに応じて、様々な一筆箋の書き方があるというのもその魅力として挙げられるが、それは次章以降に詳しく紹介されている。

第2章「一筆箋の基本文例集」
一筆箋の文例を、「贈り物を送るとき」から「必要書類を送る時の一言」、「借りものを返す」、「お小遣いを挙げる」など、フォーマルな形からプライベートの時に使う砕けたものまで載っている。
一筆箋に限らず、文書作成などに関しても参考になるので文章に困っている人にはお勧めのところである。

第3章「ちょっと変わった使い方」
一筆箋は状況に応じて、手紙以外の使い方もできる。例えばお年玉の「ポチ袋」、メモ帳、コミュニケーションツール、プレゼントと一筆箋は多様な役割を果たしている。安価なので多く買ったとしても邪魔にならず、こういった方法を使うということで買いすぎの無駄をなくせるというから便利なものと言える。

第4章「文具を活用した使い方」
「世界に一つだけ、あなただけの一筆箋」にするための文具活用法、そして文具使用法を紹介している。
インクの強さ、文字の太さ、丸文字、角ばった文字、ハンコの使い方、クラフトパンチ、香りと言う所までのテクニックが紹介されており、趣向を凝らした一筆箋が作ることができる。

第5章「遊び心いっぱいの楽しみ方」
第4章の応用編の位置付けとして活用すると良いだろう。文章の書き方、一筆箋の選び方、フレーズに至るまでより一層、印象付かせる一筆箋にする方法が目白押しである。

本書を読んでいくと一筆箋の魅力のみならず、奥深さと言うのが窺える。これまで手紙やはがきを出すというのが億劫な人でもこの一筆箋から始めると、肉筆で書く素晴らしさに魅入られることである。そうなってくると一筆箋のみならず手紙やはがきを書くのも億劫ではなくなってくる。それだけではなく、一筆箋から離れられなくなってしまう魔力も秘めている。
一筆箋は無限大の可能性を秘めている。そう思った一冊である。