図解 次世代エネルギーの基本からカラクリまでわかる本

洋泉社依田様より献本御礼。
日本で賄われている発電エネルギーは主に「火力」と「原子力」である。しかし、「火力」では原油資源の減少にみまわれ、「原子力」は安全性・環境面の観点から廃止すべきだという声が後を絶たない。その中で注目されるのが、太陽光などの「新エネルギー」であるが、課題が山積していることは言うまでもない。しかしそれらは実現化に向けて動き題していることは確かであり、今後の発電などのエネルギー形態を大きく変えることになるのかもしれない。

本書は次世代エネルギーとは何なのか、そしてどのような役割を担うのかについて紹介するとともに、次世代エネルギーがどれだけ者期に有益なことかを主張した一冊である。

PART0「エネルギーの基本を理解する」
エネルギーの基礎として、発電エネルギー、消費エネルギーの違い、エネルギーの変換、エネルギーの単位について書かれている。理科、とりわけ物理学が苦手な方、全く知らない方にとっては本章から読み始めた方がよいが、物理学についてある程度知っている人であれば読みとばしてもかまわない。

PART1「次世代エネルギーの技術を把握する」
次世代エネルギーを挙げるだけでも枚挙に暇がないほどである。本章で挙げているものでは「太陽光」「バイオマス」「雪氷熱」「風力」「地熱」「潮力」「波力」「海洋」「振動」など多岐にわたる。ちなみに「雪氷熱」は発電ではなく、雪が多い、北海道や東北の地域では暑い夏を雪や氷を用いて、クーラーや扇風機を使わずに涼しくすることができる技術であり、電力の生産と言うよりも、電力消費の抑制と言う役割を担っている。さらに「振動」は現在、東京駅などで試験的に行われており、通勤ラッシュを利用した発電エネルギーとして注目を集めている。
後半ではエコカーに関する市場の動き、さらに新しい技術の動きについて書かれている。

PART2「次世代エネルギーの政治を読み解く」
政府は地球温暖化に対する政策として二酸化炭素を90年比で25%削減することを掲げた。温暖化に関する議論は活発であり、地球温暖化そのものに疑問を持つ論者もいる。またこの温暖化も人為的なものか、自然のもの(いわゆる「ガイアの呼吸」)という説もある。さらに言うと「環境問題」を騒ぐことによってビジネスにしている人たちもいる。そのことを考えると「環境問題」を解決に向けて動いているようでいながらも、政治的、もしくは経済的な競争のダシにしているといっても過言ではない。どちらにせよ、技術の進歩は必要であり、これからは自然を壊すのではなく、自然と共存する技術の構築が大きな課題として挙げられており、PART1にある次世代エネルギーは大きな一助となる。

次世代エネルギーは従来の発電からどのように変わるのかは、まだ未知数と言っても良いのかもしれない。私たち、そしてその下の勢代、そのまた下の世代に残すべく、技術は進化している。本書はその道標と言うべきなのかもしれない。