黙読の山

「批評とは何か?」「書評とは何か?」

その答えはまだまだわからない。もしかしたら一生その答えを見つけに、本を通じて旅に出るという形なのかもしれない。他の方はどう答えるかわからないが、私だったらそう答える。
本書は現代史作家のエッセイ集であるが、本をはじめとした様々なことについて「批評」をしながらまとめたエッセイ集と言える。

様々な文学作品を一冊紹介していくようなものではなく、むしろエッセイの中に作品が数冊ちりばめられており、それに関連して様々な事柄とともに批評を行っている。「こういった評し方もあるのか」とさえ思った。

本書を読んでつくづく思ったのが、とにかく「面白い」「感動した」と言う言葉を使わず、本の中身を突く。しかしあまりネタばらしはせず、様々な事柄をまぶしながら評していくというスタイルであったということである。私も様々な方法を試しながら書評をすることが多いのだが、本の核心には触れずにも、「これはここが良い」と言うのを暗に表現していく、と言う重要性を知った一冊と言える。

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