著者は、7年前に芥川賞を受賞したのだが、受賞年齢が最高齢であり、現在も破られていない。元々小さいころから物語を描き始め、26歳の時に「毱」でデビューしたが、その後は執筆はしているものの、表には出ておらず、ようやく出てき始めたのは2010年代に入ってからのことである。
現在公に出ている点では「寡作」と言う分類に入るのだが、一つ一つの作品が短編であることが多く、一編一編が不思議なつくりをしており、不思議な感覚に陥る。
本書はその短編集を一つの「組曲」としている。組曲一曲一曲が黒田氏らしさをかもしている不思議な物語になっており、新鮮な感覚である。黒田氏の物語の作りとしては漢字とひらがななどの使い方が非常に独特である。難しい所は漢字で、簡単な漢字で書けるところはひらがなで書くことが多い。そのため読んでいくと子どもでもわかりやすく書かれているように見えながら、実はけっこうわかりにくいつくりとなっており、その「わかりにくさ」もまた不思議さを醸している。
コメント