GIGAZINE 未来への暴言

本書は「未来への提言」ではない。「未来への「暴言」」であり、あくまでGIGAZINEとしての意見をありのままに書くというポリシーの下で時には痛快に、時には過激に物事を斬るニュースサイトであり、最も影響のあるブログの1つである。私は本書に出会うまで「GIGAZINE」を拝見したことがないのだが、本書を読んでいくと「ぜひ「GIGAZINE」を見てみたい」もしくは「ブックマークをしたい」と思えてならなくなってしまう。本書は全部で章が21個あるのだが、当ブログでは選りすぐりの5つを紹介する。

layer01「「Knowledge Is Our Power」知識は我らの力なり」
朝日新聞出版にした理由、「GIGAZINE」を解説した理由、そして編集長の生い立ちと知識遍歴などを盛り込んでいる。その中で「偏った知識」や「破壊」が大きく関連してくる。

layer02「専門バカvs オタクの構図「専門バカになるな、オタクになれ」」

「専門バカ」と「オタク」

これにはどのような違いがあるのだろうか。本章を読む前に気になったところである。まとめてみるとこうなる。

・「専門バカ」・・・相手に対して無関心
・「オタク」・・・相手が関心なくても、相手に理解しようと動く

仲間に取り入れたいか、もしくは排他的かという違いである。GIGAZINEはかなり専門的であるが、どちらかというと後者の為に作られているという。

layer10「入試の時にパソコン持ち込み可・インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?」
このタイトルを見ると私の心がくすぐられてならなくなる。というのは私も入試の在り方について疑問に思っているのだから。ほとんどの試験は記述式であるが、答えは「1つ」しかないものが多い。小論文問題のように、答えがないものであれば話は別であるが。
本章で何がいい言たいのか、それは「調べる力」と「考える力」を求められる試験になっているのか、ということにある。

layer11「「文明社会でのサバイバル」を教えるのが学校」
教育基本法が最近改正されたのは2006年、ちょうど安倍内閣の頃である。そのときは「愛国心」の明記がされただけで、抜本的な改革になったか、というとそうではなかった。
教育機関である「学校」は現在どのようなことが教えられているのか、簡単に言うと全員一緒に「読み・書き・ソロバン(計算)」のことしか教えられていないと編集長は糾弾している。
何のために「教育」はあるのか、何のために「学校」はあるのか、というのを考えさせられる章である。

layer14「著作権という概念の崩壊、ファイル共有ソフトは最終局面に」
システムの世界のみならず、コンピュータに携わる世界ではWinnyをはじめとするP2Pソフトを目の敵、もしくは危険ソフトとして扱われている。その最たる理由は「暴露ウィルス」といった危険なウィルスに感染され、それが後に取り返しのつかないこととなってしまうという。
ウィルスばかりではない。「著作権」という観点ではP2Pのみならず「(動画などの)共有サイト」や「共有ソフト」など「共有」とするものすべてを目の敵にしている。
しかもP2P自体、法律としても仕組みを考えただけでも罰せられるという。編集長は「銃」にたとえているが、私の場合だったら「核爆弾」にたとえる。というのは、現在日本では「非核三原則(つくらず・持たず・持ち込ませず)」というのがある。しかし近年ではそのほかにも「核議論」そのものを禁止する風潮が見られる。別に罰せられはしないものの、マスコミが目くじらを立て、叩くという構図ができあがってしまっているのである。

本書を読んで「GIGAZINE」に興味が沸いてきている。偏った情報ながら歯に衣着せず、かつ影響力もあるメディアである。そのメディアがどのように時流を論じているのか見てみたい。昨年10周年を迎えたのだが、それが続くことを切に祈るばかりである。

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