今月菅直人首相が、退陣をする意向を明らかにした。これから民主党内では次期代表、及び首相の人選の動きを見せるのだが、本当に国を任せられるような政治家が民主党に限らずいるのか、と訊かれると首を傾げてしまう。
少し違った角度で質問をしてみよう。「あなたはどのような政治家を求めているのか」「政治家に何を求めているのか」これに関しては大きく答えにばらつきがでるだろう。というのは政治に関心を持っているのと持っていない人のさがここで出てくる。持っている人は明快に答えることができる一方で、持っていない人は答えに窮するか、あるいは「特にない」と答える。
少し前段が長くなってしまったが、本書は政治力と人間力のあり方の両輪を考察していくのと同時に、政治家として必要な人間とはどのような人を指すのかを示している。
第一章「人間性と人間行動の典型としての政治」
「政治力」
これはいったい何なのだろうか。政治的な権威を行使できる力なのか。それとも政治家になるための資質なのだろうか。もしくは国を良くするために強固な信念を持つ力なのか。いくつか挙げてみると、公約実現などを行うための、
「論理力」
「説得力」
「人脈」
「金脈」
「決断力」
「忍耐力」・・・etc
と挙げるだけでもキリがない。一言で言うのはなかなか難しいが、無理矢理言うと「総合力」にまとめられるかもしれない。
第二章「政治の破壊性と創造性」
じゃなかった・・・。
「自民党をぶち壊す」
そのフレーズから首相就任当初から圧倒的な人気を誇った小泉純一郎氏。本章では小泉政権下の政治にまつわる考察を行っている。ここ最近では「一年使い捨て」と呼ばれる首相交代劇が続く中で、戦後三番目の長期政権を築いた小泉政権。しかしそれがすべて順風満帆という訳ではなかった。もっともアメリカではブッシュ政権の最中でイラク戦争が起こった。それも題材として「権力」「理念」を基軸に論じている。
第三章「創造的政治としての政治指導と政治力」
政治的指導者として何が必要なのか、と聞かれると「リーダーシップ」と答える人が多い。では「リーダーシップ」とは何か、あるいはそれを持っている人は誰を指すのだろうか、本章では「リーダーシップ」と「創造的政治」について大久保利通と中曽根康弘を引き合いに出して解き明かしている。
首相に限らず政治家には「政治力」や「人間性」など必要である。しかしそれが具体的に何が必要なのか、というとなかなか難しい。というのはそれらの力は確実なようで不確実な力であるのだから。また政治家を選ぶ私たちもその力の定義は人それぞれである。本書はその不確実さと難しさを知った一冊なのかもしれない。
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