人は上司になるとバカになる

(株)スタジオビビ 乙丸様より献本御礼。
「7割は課長にさえなれない」といわれている上司難の時代である。しかしその上司もいろいろであり、自ら矢面に立ったり、面倒見が良い上司もいれば、自分の面子や立場だけを守り部下のことをろくに守れない上司もいるという。本書は思わず「本当にいるの?」とも言いたくなるような上司を紹介するとともに、もし部下のあなたがその上司と巡り会った時の対処法を紹介している。
しかも本書に紹介されている上司のほとんどは著者自身が巡りあったというのだから驚きである。

第1章「モチベーションを下げまくる上司」
営業を始め、仕事をするにしても「モチベーション」は重要な要素である。しかしそのモチベーションを殺ぐような上司も少なくない。褒めない、守らない、朝令暮改、と様々である。
最近では「モチベーションの上げ方」といった本もあるので、それを実践してモチベーションを上げるのも一つの手段であるが、あたかもイタチごっこのように、せっかく上げたモチベーションが上司によって下げられることも少なくない。
ではどうしたら良いのか。上司のせいにするのではなく、あくまで自分に置き換えて問題解決をする、もしくは根回しをするなどが挙げられている。

第2章「部下を信用しない上司」
もしも自分の上司が「部下を信用しない」としたら・・・、自分も上司を信用しなくなる。とは言っても会社である。自分の意見を押し通そうとしても窮屈になるだけである。夏目漱石の言葉に、

「智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角にこの世は住みにくい」

があるとおりに。
意地を通すよりも上司の考えや意見に従う、もしくは知ることによって、部下を信用しないような状況を打破させることも一つの手段として挙げられる。

第3章「部下を追いつめる上司」
追いつめられて強くなるのであれば良いのだが、それが裏目になり、精神疾患になったり、退職に追い込まれたり、最終的には自殺に追い込まれることもある。
もしも私がそのような上司の下にいたら・・・自分自身立ち直れない日々が続く。もっと言うと精神的にもおかしくなり、病気がちになることも考えられる。
では本章のような上司とどのようにつきあっていけばよいか、

第4章「自分の価値観を押しつける上司」
価値観は人それぞれである。
しかし上司の中にはその価値観を押しつけるような人がいるのだという。そう「人それぞれ」であるにも関わらず、である。
そういった上司とのつきあい方は、というと「私情を捨てる」、もしくは上司の意見に従うことである。たとえ反発をしたとしても相手が変わることはないのだから。

第5章「部下のジャマをする上司」
もしも上司が部下の仕事をジャマする人だったら・・・、それを考えるだけでもゾッとしてしまう。畑違いであるが私はシステム業界におり、システム開発などを行っているが、期間も設けられているため、たった一つの「ジャマ」だけで、納期が遅れるだけではなく、クライアントとの信頼も損ねかねないからである。
ジャマにも色々あるのだが、本章ではそのような上司に対する対処法を紹介している。

人生と同じように会社員人生も一度きりである。その中で様々な上司と仕事することがあり、それを続けることによって信頼関係を築き上げる。昨今では様々な仕事スキルにまつわる本が書店に並んでいるが、それらを身につけるだけでは会社の中では生きて行くことができない。上司をはじめとした会社としての「世渡り力」が必要だということを本書では教えてくれる。上司との関係をギクシャクさせるよりも、関係を保ちながら教師(または反面教師)として見ていけば、学びになるのではないのだろうか。