私の住む川崎市から少し離れると神奈川県の県庁所在地である横浜市に行くことができる。横浜市にはみなとみらいのある桜木町が代表されるが、横浜市の顔の一つとして本書では伊勢佐木町を取り上げている。
伊勢佐木町というと本書でも紹介されているが、故・青江美奈が歌った「伊勢佐木町ブルース」が有名である。
最近では「イセザキモール」が誕生し活気があふれている。しかしこの伊勢佐木町はそれが誕生するまでは活気を失いつつあったのだという。そこからどのように蘇ったのか、本書はその軌跡を示している。
第一章「全国でも類を見ない観光都市ヨコハマ」
神奈川県の中心地と言われる横浜市は人口350万人を越える大都市でありながらも、横浜中華街や西洋文化の影響を受けた元町、貿易の要としての名残が残る赤レンガ倉庫など枚挙に暇がないほど観光名所が存在する。
第二章「ヨコハマの原点はここにあった」
横浜市のたどった歴史は幕末から第二次世界大戦など様々な事柄の影響を大いに受けたところでもある。幕末は日米修好通商条約により開港し、西洋文化の中心地の一つとしても栄えた。しかし第二次世界大戦のなかで「東京大空襲」と同じく「横浜大空襲」が起こり、街は焼け野原となり、戦後米軍による接収もあった。
第三章「復活をめざして立ち上がる若者たち」
伊勢佐木町の商店街は老舗の商店街として名を馳せていたが、店の倒産が相次ぎ寂れていった。その現状を憂いた若者たちが立ち上がり、伊勢佐木町の町おこしを行い始めた。「若者にしかできないこと」「若者が喜ぶこと」を次々と行い始めた。そしてそれをブログなどの媒体に展開することにより、伊勢佐木町のイメージアップをはかった。
第四章「伝統あるイセザキの新たなまちづくり」
日本とアメリカの香りが良い意味で融合している街である伊勢佐木町。その再生もそれを重んじながら進めていった。「伊勢佐木町ブルース」にあるとおり、歌をはじめ映画やアートなどの芸術を融合させるなどのプロジェクトを進めていったことなどについてを本章では取り上げている。
第五章「もはや街全体が”ステージ”と化す」
街づくりの集大成の一つである「イセザキ映像祭2009」を取り上げている。かつて「映画の街」と呼ばれた伊勢佐木町復活させつつ、新しい形の「映画の街」をつくられた「象徴」として開かれた。このイベントは大成功をおさめたが、「映画の街」としての活性化を続けただけではない。音楽やフェスタなどのイベントも次々と展開し、街全体が「ライブステージ」とまで化すようになった。
第六章「街を活気づけるストリートミュージシャン」
この街の出身であるアーティストの代表各としてゆずがいる。ゆずも伊勢佐木町の松坂屋でライブを行い続けたことによりスターダムにのし上がってきた経歴を持つ。青江美奈もそうであるが、ゆずもまた伊勢佐木町によって育ってきたバンドと言っても過言ではない。
そしてもう一つ伊勢佐木町からJOHNLOSというバンドが生まれている。そしてそのバンドがまた伊勢佐木町のストリートミュージックを活気づかせている。
伊勢佐木町はかつて様々な文化の発祥地であった。その文化がさびれても、雄志により新たな文化を生みだし活性化して行く。伊勢佐木町の人々にはそのような魅力がある。伊勢佐木町は昔は輝いていたのではない。今も輝いている街。それが伊勢佐木町の魅力であり、それに向けて雄志たちは今も奔走を続けている。
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