流しの公務員の冒険 ―霞が関から現場への旅―

「流し」とは、

「ギター、アコーディオンなどの楽器を持って酒場などを回り、客のリクエストに応えて客の歌の伴奏をしたり、ときには客のリクエストになど答えて自らの歌を歌う者のことである」Wikipediaより)

とあり、本来は演奏家や歌手のことを言うのだが、本書ではあくまで「公務員業務」として「流し」として現場を渡り歩いている著者のことを表している。決して本書の表紙のようにトイレや洗面所といった「流し」を掃除するだけの人ではない。

それはさておき、公務員の中では相当珍しい「流し」として働く公務員の姿を取り上げている。

第1章「病院再生」
病院というと法人として、企業のような形かもしれないのだが、中には「市町村立」や「都道府県立」「国立」といった病院もある。その病院の中には公務員が働くこともアルのだが、その中では様々な「苦難」や「激論」などがあった。中でも新病院設立はまさに「市民」も巻き込んでの大激論に発展させていったところは強烈な印象があった。

第2章「霞ヶ関の憂鬱」
著者は大学卒業後、自治省(現:総務省)に入省して97年に離れるまでは一貫して自治省で働いた。その働いた9年間はまさに憂鬱な側面が多かったのだという。

第3章「流しの公務員の誕生」
自治省を退職して、様々な街にて「流し」を行うこととなった。自治体を渡り歩きながら、様々な仕事や経験を積み重ねていく。その中には想像を絶するような人・もの・ことがあったのだという。

第4章「トイレを磨く」
私自身も掃除が好きであり、トイレ掃除は結構好きである。自分自身の向き合う「鏡」を磨くのと同じだからである。そのトイレ掃除、トイレ磨きはある人との出会いによって行うようになったのだが、そのことにより、著者自身の掃除観・人生観も変わったのだという。

様々な場所において公務員として働く著者は、その度に出会いや改革を推し進めていったといっても過言ではない。その改革は今もなお行われており、著者もまた様々な所で「改革」を行い続けている。その足跡が本書にある。