私は中学・高校と吹奏楽に入り、チューバを担当した経歴を持つ。そのことから本書ほど親近感を沸かずにいられなかったことから本書を手に取った次第である。
なぜ私がチューバを吹くことになったのか。簡単にチューバを吹く人が足りなかった(というよりいなかった)からである。別に好きだからというわけではなかったが、吹いてゆくうちにだんだんとチューバの魅力に飲み込まれ、気がついたら高校まで続けていた。大学に入ってからはさすがに楽器を買うこととなるとお金とスペースの関係から断念せざるを得なくなった。チューバをやめてからもう8年経つが、それでもチューバを見るとなぜか懐かしみ、かつ心を躍らせる自分がいる。
さて、チューバの楽器についてを取り上げるのを忘れた為、ここで述べておく。チューバが誕生したのは諸説あるが、最も有名なものでは1835年にベルリンのプロイセン軍楽隊長と楽器製造職人がピストン・バルブ式のものを初めてつくり、特許も取得したことが始まりとされている。そこからチューバという楽器が認知され、今日では吹奏楽、オーケストラなどで使われている。
チューバの歴史はここまでにしておいて、本書の主人公である女性もそれに似た理由からチューバを始めた。私と同じようにチューバ独特の魅力にのめり込まれ、10年以上続けている。そう、現在進行形で。チューバの魅力にのめり込めたからでこそ見える世界があり、本書でもそれを忠実に表現している。
本書はそれだけではなく、2編の短編集も盛り込まれている。
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