読書以外でも、色々な所で考えるのが「なぜ働くのか?」である。多くは「生活のため」だの「キャリアのため」だの「なんとなく」だの答える人が多い。
私の場合は「やりがい」「楽しさ」を求めて働いているのだが、それについても考え直さなければならないことがある。
私事はさておき、本書では「働くこと」「幸せ」の本質を働きながら考え続け、そして「利他」の心であると考えたか方がいる。その方はチョークの製造・販売を行っているのだが、その中で知的障害者を積極的に雇ったことにより注目を浴びた。
第1章「何千年たっても変わらないこと」
時代は変わるが如く、働き方、労働館も変化する。しかしどんなに変化の起こる時代でも、「変わらない」ことがある。本章では「お釈迦様」の知恵とあるが、これは「仏教」に通ずる考え方であろう。
その裏付けとしてある槃特の話を取り上げている。
第2章「誰かの役に立ってこそ、幸せ」
直接・間接関係なく仕事には「誰か」の役に立つ。その対照は会社の中か、社外、それも私たちの生活に役立つものもある。
またその人の役に立つことにとって「幸せ」を感じることもできる。働くことによる「幸せ」は結果もそうであるが、働く人の成長も、感じ取る「幸せ」の一つと言えよう。
第3章「「利他の心」が人生を拓く」
「働」という言葉は「人」のために「動く」からである。
本章の冒頭に述べられたことであるが、それこそ本書のいう「利他」の精神の根幹を成している。
「人の役に立つ」「人の幸せをつくる」ことを根幹に障害者採用を積極的に続けてきたが、それは決して平坦な道ではなかった。保険組合からの白い目もあれば、社会の無理解による事実無根の中傷も度々あった。それでも著者はめげずに障害者採用を続けていった。
第4章「「幸せな自分」をつくる」
世間一般における、「幸せ」とは何かと考えるときりがない。しかし自らの「幸せ」とは何か、と考えると、色々と出てくる。
その「幸せ」をつくる、あるいは「幸せな自分」を作るにはどうしたら良いのか、それは「一隅を照らす」ことにあるという。
76年間の生涯、さらには知的障害者の雇用によって見つけた「働くこと」「生きること」「幸せ」の答え、その答えが本書には詰まっている。社会通念も常識もすべて捨てて、一つこれまでやってきたことと、幸せと働くことを考え直す機会となる一冊であった。
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