人は誰しも「笑う」ということを行ったことはあるだろう。「笑い」と言うのにもいろいろな種類があり、口を開けて大きな声で笑うものや、唇の口角を上げるだけの「笑い」もある。どのような形でさえ「笑い」は「笑い」である。
人はどのような時に「笑う」という感情が起こるのだろうか、そして哲学的に「笑い」という感情が考察され始めたのはいつで、どのように思索は変遷していったのか。本書は人間の基本的感情である「笑い」を哲学・社会・文学など様々な角度から考察を行っている。
第一章「文学的見地と哲学的思索」
まずは哲学的な見地で考察された歴史から始まる。古くはプラトンやアリストテレスの時代に遡る。その後近世になってくるとデカルトやカント、スピノザなど「近代哲学」の礎を築いた哲学者が名を連ねる。
第二章「エソロジーの諸相」
本章に入る前に、「エソロジー」について紹介しておく必要がある。「エソロジー」とは、
「動物行動学」そのものであり、生物の行動を研究する生物学の一分野。日本では伝統的に動物行動学と訳されているが、原語のエソロジーはギリシャ語の ethos(エートス:特徴、気質)に由来している。(wikipediaより一部改変)
とある。
本章の話に入る。本章では「生物学」「人類学」の観点から「笑う」という感情の誕生、その「笑い」がどのように多様になっていくのか、「爆笑」と「微笑」の違いについてが中心となる。
第三章「笑いの原因」
「笑う」要因は様々である。私自身の話であるが挙げてみると、
・笑えるもの(こと?)を観たり聞いたりする
・自分では想像できないものに出くわすこと
・いつでも
といくつか挙げられる。その「笑い」にも精神的な様相はいくつかある。単に「快感」や「快楽」といった感情ばかりではなく、「恐怖」や「驚愕」といった感情でも「笑い」は使われており、「愛想笑い」にもあるとおり「無表情」や「無感情」と言ったところにも「笑い」はある。
その様々とある「笑い」からくる「精神」や「心理」につて、フロイトの考察を中心に紹介している。
第四章「文化・社会の諸相」
今度は文化・社会、そして民族にまつわる「笑い」のとらえ方について考察を行っている。民族や文化の違いによって笑いのとらえどころが違う。極端な話であるが、葬式だが死者にたいして「大爆笑」で奉る風習のある国も存在するのだという(あるTV番組で観たのだがどこの国だったか忘れてしまった)。
「笑い」は国・民族の違いを越えて、人間特有の感情である。その「笑い」があるからでこそ、人間として成り立っているのかもしれない。様々な学問での「笑い」を学ぶことができる、そういった一冊と言える。
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