トリニティ、トリニティ、トリニティ

本書は近未来を描いたようでありながら、今の社会を鋭く切り込んでいると言える。もっとも舞台は2020年。ちょうど東京オリンピックの年であり、なおかつ東京オリンピックが開催され始めた頃のことを描いている。

しかも事象は「原発事故」、そう2011年に起こった東日本大震災と、福島第一原発のメルトダウンの出来事から2020年の東京オリンピックにて「原発」と言う名の闇が襲うというものである。近未来チックに描きながらも、見えない「闇」がお祭り騒ぎの中の日本を襲うと言った話であり、社会的なメッセージが強く込められている。そう、「祭の裏には見えざる危険が迫っている」と言うことを。

原発もさることながら、見えない未来が、そして見えない声が、見えない世界とそれぞれの「見えない」要素が私たちの日常に襲いかかる、その「もしも」を映し出しているようでいてならなかった。

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