災害弱者と情報弱者~3・11後、何が見過ごされたのか

2011年3月11日午後2時46分、会社ではそろそろウィークエンドを迎えようとした頃、東北三陸沖を震源とした巨大地震に見舞われた。この地震により津波、さらには原発事故も併発し、多くの家屋が壊れ、人々の命が失われた。
その震災の中で活躍したのがTwitterやFacebookといったソーシャルメディアだったのはかつて震災にまつわる本の書評でも言及してきた。
本書の話に移すがその災害のなかで、災害に対する「耐性」の格差と先に行った情報に対する格差と多様性について考察を行うとともに、「情報洪水」と呼ばれる時代の生き方、さらにまた同じような震災にあったときの対処についてを見出している。

第1章「災害弱者―3・11被害とその背景にある社会」
東北や北関東を中心に被害を受けたとは言っても、以下のパターンが存在する。

①地震で被害を受けたところ
②津波で被害を受けたところ
③原発事故で被害を受けたところ
④ほとんど被害を受けなかったところ

ほかにも地震・津波・原発事故と多重被害を受けたところもあるのだが、大きく分けて4つに分けた。
もっというと未曾有の地震や津波が起こりながらも被害や犠牲者を最小限に押さえたケースもあれば、判断や情報の誤りにより壊滅的な被害を受けたケースもある。
本章ではそのことのほかに、現代社会における「リスク分配」や阪神・淡路大震災との比較について考察を行っている。

第2章「情報弱者―震災をめぐる情報の格差」
被害格差については前章で紹介したのだが、本章では中でも「情報」にまつわる格差についての考察を行っている。以前も震災に関する本を取り上げた時にもソーシャルメディアの使用可否について書いたのだが、情報格差はそれだけではない。地震や津波、原発事故の惨状について日本と海外メディアで差があった。それもFacebookやTwitterでみたことがあるのだが海外メディアの方が傷跡まで生々しく映し出しており、地震や津波の恐ろしさを世界に向けてまざまざと見せつけたのと同時に、日本メディアの隠匿性を露呈させてしまう羽目になった。

第3章「震災後3カ月の情報多様性」
震災から3ヶ月後、原発事故や地震に関して冷静に取り上げられ始めた時期であるが、そのなかで「情報濁流」と呼ばれる情報の実態と「横並び報道」と呼ばれる既存メディアの実態を明かすとともに、多様で数多くの情報をどのように接種したらよいのかを示している。

良くも悪くも「情報」についてメリットと課題を露呈させたのも東日本大震災や原発事故で生まれた側面の一つと言える。本書はそのことを気づかせてくれる一冊と言える。

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