シリーズ「「宮台真司」の思考を解剖せよ」第2弾は社会学そのものである。
これまで自分自身も「社会学」に関する本を読み、書評を行った。「社会学」は現在ある身近な「社会」について考察を行っているのだが、その「社会学」としての歴史とともに考察を行っているため取っつきにくい点も多い。
しかし本書のタイトルに「14歳からの」と冠しているだけに、現在の社会を中心にどのようなものかを知るために、専門用語を原状に止められるギリギリまで噛み砕きながら語っている。
1.「<自分>と<他人>」
著者が生まれた昭和30年代は「みんな仲よし」で生きることができた時代であった。しかし現在、それだけでは生きることができない。おざなりの「仲よし」ではなく、相手に認めてもらえる「承認」や「合意」、さらには熱心に関わる為の「コミットメント」が重要視されている。
しかし日本の教育は昭和30年代の時とはほとんど変わっていない。
2.「<社会>と<ルール>」
最近では法律など様々な形で「ルール」が厳しくなってきている。
著者は中学と学校紛争を起こったのだという。少なくとも1970年代の頃であり、1968年前後に起こった「大学紛争」の後であり、そのころには「高校紛争」もいくつかあった。
その著者の生い立ちの中で見てきた社会とルールの関係について本章では語っている。
3.「<こころ>と<からだ>」
現在と著者が生まれた時代の中でもっとも大きな「違い」は「リアル」と「バーチャル」という形で「世界」が分かれたところにある。簡単に言えば「インターネット」や「ゲーム」が出て、疑似的に恋愛や遊びができるようになったことにある。
それが要因となったのか、自然に触れたり、異性との恋愛する機会が減少した。
4.「<理想>と<現実>」
どうやら日本人は「仕事に対して期待しすぎ」であるのだという。自分自身も過剰に期待してしまうため、「期待してしまう」感情に陥ってしまう。しかしそうなってしまうのも、明治維新や戦後間もない頃の「歴史」、さらに日本にしかない「独特」の背景も絡んでいるのだという。
5.「<本物>と<ニセ物>」
人間における「本物」と「ニセ物」についてを論じている。その中でも著者が出逢った「本物」と呼び、かつ尊敬した人間についても紹介している。第1弾で紹介した「ぶっ飛んだ」人間のことをさしているが、昨今、その人間がいないことについても著者は嘆いている。
その「本物」と「ニセ物」をどう見分けるか、具体的なやり方は存在しない、というより、様々な人に会ってみないとわからない、としか言いようがない。
6.「<生>と<死>」
人は必ず「死ぬ」。それは誰にも変えようの無い事実である。
著者が「死」を考える、きっかけとなったのが著者の母の死であった。その「死」は宗教や倫理、もしくは哲学で考えることが多いのだが、「コミットメント」や大ヒットした「千の風になって」などを元に「死」と社会事情とのリンクができるのだという。
7.「<自由>への挑戦」
「自由」はよい響きである一方で、自分自身に「責任」がつきまとう。
しかし社会学という学問の立場から「自由」は何なのだろうか、本章では「社会学」における「自由」と「不自由」についてカントはホップズ、アリストテレスといった古典的な社会思想から、人からの「感染」、さらには「歴史」などをもとに解き明かしている。いわば本書における「まとめ」としての「自由」がそこにあると言える。
8.「BOOK&MOVIEガイド」
ここでは「社会学」を深く知るべく、読書や映画案内といて様々な作品を紹介している。「社会学」を知ることにスポットを当てているため、一部を除いてあまり知られていない作品ばかりである。
本書は社会学における「基礎の基礎」を14歳の為に紹介した一冊である。取っつきやすいように「口語」で社会学における様々なものを紹介しているように、これから「社会学」を学びたい人、社会を変えたい人に、「今」の社会を教えている一冊である。
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