人生には「山」だったり、「海」だったり、あるいは「道」だったりと、いろいろなものに喩えられる。その道は決して平坦なものではなく、前に進まない、後戻りする、思った以上に前進すると言ったことが度々起こる。
本書は中でも「海」に喩え、泳ぎ方の中でも「バタアシ」と見立てて自らの人生を語るとともに、同じ境遇にあった人との対談を綴っている。自殺未遂や対人恐怖症、さらには引きこもりなど自分自身の心に関する病のありとあらゆるものをすべて体験してきた中でそれぞれの境遇にある人を励ましている。
第一章「自分の居場所が見つけられない人へ」
まずは「対人恐怖症」である。好きのことだったり、趣味だったり、得意なことだったり、価値観だったりするなど、人それぞれ異なる。しかしその「異なる」ことを受け入れられず、心を閉ざしてしまう人も少なくない。もっと言うと「異なる」ことを受け入れられず、差別をする、もしくは排除をするような人もいる。
人だけではない。人が集団となり社会として「排除」を受ける人もいる。それを受け入れるにも一人ではできない。むしろ自分自身で悩んでばかりでは何にもならない。誰かに相談をする、あるいは助言を乞う、そして「そうなのだ」と割り切ることで心が軽くなり、自然と居場所を見つけることができる。
第二章「自分の殻に閉じこもり、抜け出せない人へ」
「自殺未遂」「引きこもり」
自分自身の殻に閉じこもることは思わぬ所で起こる。日頃から「死」を感じたり、死に追い込んでしまうほど、精神的に追いやられることがある。
著者は精神科に行くことで抜け出してきたという。
第三章「やってもやっても、うまくいかないと思っている人へ」
色々なチャレンジをすると、上手く行かない部分もある。上手く行かなくなると自分自身がネガティブになり、第二章にあるような「自分の殻に閉じこもる」という状況に陥る、あるいは引きこもり状態になる事さええる。
自分自身も4月からライターなどの仕事を行っているのだが、上手く行かない事が非常に多い。でも「上手く行かない」と言うことを受け入れて、考えながら前に進み続けること、上手く行かない事がこれからの自分のためになる、と言うことを心に刻みながら生きる。
第四章「何かを変えたいのに、変えられない人へ」
生き残るためには「変化」が必要である。しかしそれを知ってはいても、できない人は非常に多い。私自身も今もそうであるが、過去もよく自分自身が変わらなければならないときに、変わる事のできない自分を責めたことも何度もある。その原因として忙殺されている要因もあれば、自分自身が「現状維持」を求めてしまう要因もある。
その時は「自分らしくいられる場所」を見つける。それは趣味の世界でも、仕事の世界でも同じ事である。
第五章「生きている意味がわからなくなった人へ」
「生きる意味」
それは自分にも良くわからない。わからないからでこそ、今でもそれを追い求めながら色々なチャレンジをしている。自分の生きる意味を考え続けて、それで見つからず、ますます閉じこもってしまう事もあるのだが、むしろそれを考える時はまず行動しながら、と言うことを前提にすることによって、より深く考えることができる。
著者は様々な「心の病」にかかり、「バタアシ」で進みながら治していった。そして自らの体験を振付師から演出家に至るまで幅広く活躍している。「心の病」は抜け出したくなるほどの「苦しみ」を覆う。しかしそこから一端抜け出せば、何物にも変えがたい人生が待っている。そう、「明けない夜は無い」のだ。
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