したたかな国キューバ―シジョンは揺れても倒れない

キューバでは「カストロ体制」が続いている。2008年に長らく統べていたフィデル・カストロが健康状態の悪化を理由に退任し、新たにフィデルの弟であるラウル・カストロが国家評議会議長の座に就き、あとを引き継いだ。事実上「カストロ体制」が続いたことになっている。
著者は在キューバ大使として2009年から2012年までキューバにいたのだが、ちょうどそのときは先ほども行ったとおり、権力の座が兄から弟に委譲した時である。
本書は著者がキューバ大使を務めていたときのことを綴っている。

第一章「2009年」
キューバとアメリカは対立関係にあるのだが、日本とキューバの関係は現在でも外交関係を築いており、ちょうどこの年は外交関係が樹立してから80年となる節目の年だった。その年には他にも側近が更迭する事件があった。それでもキューバの要人が日本に表敬訪問されたり、逆に表敬訪問したりするなどと外交関係を築いていった。

第二章「2010年」
この年は最初隣国で大災害があった。そう「ハイチ大地震」だった。約20万人ほどの命が失った。キューバでは隣国であるが故に災害の復興や復旧の支援に回った。その復旧活動にいそしんだ他に日本人旅行者の対応などを綴っている。

第三章「2011年」
この年は日本で「東日本大震災」という災厄に見舞われた。他にもキューバでは対立しているアメリカからの経済制裁が緩和されるようなことも起こった。さらに東日本大震災と同じ時期には「アラブの春」と呼ばれる革命運動が起こった。

第四章「2012年」
この年は大きな動きはなかったものの、汚職事件が明るみにでたり、ローマ教皇がキューバに訪問したり、カストロ議長の外国への訪問があったりなど、様々なことがあった。

キューバは今でも共産主義体制であるのだが、日本とキューバの関係は比較的良好であることは本書でもよくわかる。本書は著者でしか伝えることのできない、キューバの内情についてよくわかる一冊である。