1時間でわかるアイヌの文化と歴史

今年の7月12日に、北海道白老町にて「民族共生象徴空間(通称:ウポポイ)」が開業した。アイヌの神話・歴史と、文化や出来事など、アイヌにまつわることが数多く展示されている。また共生公園などが存在するなど、アイヌ文化を学ぶだけでない役割も担っている。またこの開業の3ヶ月後にはアニメ「ゴールデンカムイ」の第3期の放送が開始された。

アイヌ民族を始め、アイヌ文化を学ぶ機会はドンドンと増え始めている。本書もその一冊であり、アイヌにまつわる文化と歴史をカラー版で学ぶことができる一冊である。

第一章「アイヌの信仰世界」

アイヌにも日本における神道と同じく、信仰している宗教は多神教である。しかし、神道とは違い、アイヌ独特のカムイ(神)が存在しており、その神の信仰と習わしに沿って生活とともにしている。

第二章「アイヌと自然」

ゴールデンカムイのマンガ・アニメの中にはアイヌ信仰にまつわることも描かれており、特にキムンカムイ(エゾヒグマ)やユク(エゾシカ、本来はユと小文字の「ク」と表記している)といった動物と狩猟、さらにはどのように扱われていったのかを取り上げている。

第三章「アイヌの生活」

アイヌにおける「衣食住」を表しているのだが、家の建て方から、衣服、さらには食生活に至るまで独特である。どのような独特さがあるのか、そして家族や結婚、葬送にまつわるしきたりとはどのようなものかを紹介している。

第四章「アイヌの美」

本章では衣食住における「衣」の部分を中心としながらも、特にアイヌの女性において習わしとされてている、口の周りの「入れ墨」が特徴的である。他にも衣装の他にも「ムックル」といった楽器も取り上げている。

第五章「アイヌの文化」

アイヌにおける文化は北海道はもちろん、樺太(現在のロシア・サハリン)など島々によって異なる。暦の読み方についても日高といった南方、樺太と言った北方とで読み方や意味合いも異なる。

第六章「アイヌと縄文人」

古代において世界各地で縄文文化が栄えたのだが、日本でも地域によって縄文文化の在り方は異なっていたという。もっとも北海道における縄文文化はどのようにしてアイヌ文化へと変貌を遂げていったのかを取り上げている。

第七章「アイヌの歴史」

アイヌそのものの歴史は北海道にとどまっているわけではない。歴史によっては北方は樺太、南方では東北、新潟の佐渡島に至るまで存在した。そのアイヌ文化は歴史と共に、どのようにしてつくり上げてきたのか、本章では出土した土器を含めたものを中心に取り上げている。

アイヌ文化をここまでわかりやすく、なおかつカラーにて史料を余すところなく収められているため、入門書としてはもってこいである。アイヌ文化に触れたいといった方には本書はかなり適している。