理系バカと文系バカ

見ての通り過激なタイトルであるのだが、どういう人の事を指しているのか。本書では、

「理系バカ」・・・自分の世界に没頭しすぎて、極端な行動に走りやすい人
「文系バカ」・・・他人の情報を鵜呑みにして、その場の空気に流されやすい人(いずれも本書の内容紹介より)

と表されるのだが、実際にどうしてそういう言葉ができあがったのか、そして「理系バカ」「文系バカ」を超えて、著者はいったいどのようなセンス、人を求めるのだろうか、本書はそのことについて取り上げている。

第1章「こんなタイプが「理系バカ」「文系バカ」!?」
「理系バカ」にしても、「文系バカ」にしても、最初に書いたモノ以外にも色々な特徴がある。「文系バカ」だと占いや取扱説明書、カタカナ語などの情報に流される、もしくは気になっていまい、そのことに関して疑いもせずに乗ったり、使ったりしてしまうような傾向を指している。もっと言うと算数や物理に対しての理解も疎く、数学的に考える事が苦手である。
これに対し「理系バカ」は分からないことを調べたがるだけでは無く、他人との関わり合いを避ける、あるいは最新の技術などのモノをとにかく求め、独善的になってしまう傾向にあるのだという。

第2章「文系と理系、どっちがトク?」
しかし近年では理系の大学に進学したり、理系の研究も減少したりしている。その一方で、科学的な事についてとある理系女子の研究者のことで大々的に取り上げられるケースもあるのだが、実際の所、科学に関する所にフォーカスをするよりも、むしろ女性であることのフォーカスの方が重きに置いていると言っても過言ではない。もっと言うと疑惑になるとそっちの所にフォーカスを当てるというメディアの悪い癖もあるのだが。
理系女子についてはそこまでにしておいて、文系と理系のどっちが「トク」なのか、と言うところをフォーカスしているのだが、第1章で「理系バカ」「文系バカ」と言うのが出ているように、一長一短存在する。

第3章「日本は理系人間が育ちにくいの?」
では、日本では理系人間が育ちにくいのか、と言うところであるが、実際の所中国よりも理系の学者は少ないと言えるが、単純に中国は人口が多いと言うのを考慮に入れる必要がある。しかし日本では「理科離れ」と言う言葉が出ているとおり、理系人間が育ちにくいか、と言うと確かにその通りかも知れないが、その一方で最近でもノーベル賞を受賞した学者もおり、一概に育ちにくいとは言えない。

第4章「「理系センス」がある人はどこが違うのか?」
「理系センス」というのはいったい何なのだろうか。本章では人間と宇宙の法則から始まり、微分積分の重要性、勉強法、数字の裏など数学、科学に関してどのようなセンスが必要なのかについて説いている。

第5章「文理融合センスを磨く5カ条」
著者が最も理想的なセンスとして「文理融合センス」を取り上げている。そのセンスを得るためには実際にどのようにしたらよいのか、そのことについて「5カ条」と表されているが、一部は「文系」や「理系」に限ったことを言っているものがあるので、それぞれ実際には「4カ条」さえ守れば良い。

理系が文系のことを、逆に文系が理系のことを知る必要があり、そのバランスを取ることが必要である事を本書は説いている。しかし、近年の理科離れを鑑みてみると、文系の人のために図解で分かりやすく解説された数学や科学など理系の本も書店に行くと所狭しと並べられている。ビジネスの世界でも統計をはじめとした数学的な考え方が大事になるなど、第4章で取り上げられている「理系センス」の重要性が認識され始めていると言っても過言ではない。そう考えると、本書のゴールの一つである「文理融合センス」が求められる時代は来るかもしれない。