となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS

つくづく日本は「難民鎖国」と呼ばれている。一昨年に「難民鎖国ニッポンのゆくえ」でも取り上げたのだが、難民申請は多数いる。しかし実際に受け入れられたのは5%にも満たないと書いたのだが、2018年の法務省による統計では難民申請は10,493人に対し、難民認定、あるいは庇護を受けた人はわずか104人と文字通り1%だけで、タイトルにあるように99%は認められていない。

本書の著者は外国人支援団体の主宰で、難民認定に尽力したのだが、その申請の中での日本と難民に対する実態と、難民申請を行う方々の事情について取り上げている。

第1章「私が出会った難民」
「難民」と言うと戦争などの凄惨な場所から辛くも脱して他の国に庇護を求めるといったイメージが持たれるのだが、著者はこれまで出会ってきた方の中にもそういった事情もあるのだが、他にも政治や民族、宗教、政治など様々な理由における迫害を受け、庇護を求める方々も少なくない。

第2章「世界と日本の難民事情」
日本は難民受け入れの超後進国とも呼ばれているがまさにその通りとも言える。冒頭でも述べたように受け入れ事態が1%であり、数も104人。他の国から比べても明らかに少ない(多い国ではトルコが最も多く約370万人、次いでパキスタン、ウガンダ、スータン、ドイツと続いている p.92より)
しかしながら日本で働いたり、暮らしている外国人は多くいるのだが、たいがいは就労ビザを受ける、あるいは移民をする方々もいるのだという。では移民と難民の違いとは何か、そして難民申請の中にある技能実習制度の実態も取り上げられている。

第3章「「入管」に収容される難民」
「入管」は正式に言うと「出入国在留管理庁(しゅつにゅうこくざいりゅうかんりちょう)」と呼ばれており、管理局が全国に点在しているだけでなく、茨城県牛久市と長崎県大村市の2カ所に「入国管理センター」が存在する。ともに本章における「収容」と言われており、人権侵害が起こっているとしても取り上げられている。

第4章「日本で育った難民の子どもたち」
難民申請を行っていく中で子どもができる方々もおり、その子どもたちもまた日本で育つ。その子どもたちもまた難民申請のなかで過酷な境遇を経ているという。

日本では外国人の受け入れが行われて来ている影で、難民受け入れについては未だに後れを取っている。この現状について解決の糸口があるのかというと、定かではないのだが、まず一つとしては今の日本における難民の実態を「知る」ことが手段としてある。その格好の手段が本書と言える。