大人の直観vs子どもの論理

子どもは好奇心の塊で、直観でなおかつ直情的に行動すると思いがちであり、なおかつ大人は理性が成長することによって、考え方・話し方などが論理的になると思いがちである。しかし本書はそれとは逆で、子どものほうがむしろ大人以上に論理的で、大人の方が直観的であるという。本書はそのように至った理由について証明している。

1.「間違いだらけの私たち」
「人間は間違える生き物」と言う言葉は有名であるのだが、その理由は何なのかというと、様々な騙し方はさることながら、「モンティ・モール問題」など選択の定義について取り上げている。

2.「思いつきも悪くない」
アイデアは「思いつき」によって出てくることがほとんどであるのだが、その「思いつき」はいかにして出てくるのか、その一つとして「無意識」がある。その「無意識」の中に記憶を引き出したり、その記憶から色々なものを結びつけたり、あるいは五感で得た情報を結びつけたりすることでふと思いつくようになる。その「思いつき」は否定的にとらえられがちであるが、本章では「そんなに悪くない」としている。

3.「ともあれ理由は脳にある」
思いつきだったり、感情だったり、直観だったり、論理の世界でなかなか相容れられないような要素が出てくるのだが、結局の所脳機能にあるのだという。本章ではその脳機能について考えるなどの様々なことの役割を取り上げている。

4.「子どものほうが論理的?」
さて本題である。なぜ子どものほうが論理的なのかと言う回答に入る前に、子どもの行動の中で一つ取り上げてみると、初めて見るもの・ことに対して「なんで?」「どうして?」と質問することがある。もっと言うとよく分からないことを親に問うことがある。そのことを考えると子どもは論理的かと思ってしまうが、さらに本章では子どもというよりも赤ちゃんの行動にフォーカスをあてている。

5.「子どもには子どもなりの脳がある」
脳の違いというと、すぐ分かるのが子どもと大人とで大きさが異なるのだが、他にも適応度や発達など大人と子どもとで異なるという。

6.「視点を変えれば間違いも役に立つ」
1.の補足とも言えるのだが、「間違い」と言えるようなことでもものの見方によれば改善のヒントになったり、人生で大いに役に立ったりすることがある。本章では「視点の違い」や「遺伝子」を取り上げつつ、役立つ理由について述べている。

本書はあくまで脳機能の違いについて取り上げているが、それでも固定観念としてあった「子どもは直観的」で「大人は論理的」という前提が崩れる。しかもその前提が崩れるにも理由があり、本章ではそれを証明づけているといえる。