イメージ脳

人には誰にでもイメージ(想像)をすることができる動物である。そのイメージは右脳から来ていることはほぼ誰にでも知っているような話であるのだが、具体的に脳のどの器官から人はイメージするのかはわからない。本書はそのことを解き明かすのと同時に、イメージから言語の獲得からコミュニケーションの形成に至るまでのことにも言及している。

1.「イメージをつくる脳」
イメージを司る所は最初にも書いたように右脳なのだが、具体的には「下頭頂小葉(かとうちょうしょうよう)」と呼ばれる部分であるという。ちなみにそのイメージをつくるのがうまい人はそれが大きいのだと言い、本章でも相対性理論を生み出したアルベルト・アインシュタインがその部分が拡大していることを言及している。

2.「自己と他者の認識」
ものの見方を始めありとあらゆるところにて「自己」と「他者」とで認識が異なるのは大いにある。それは価値観もそうであるが、脳の機能の部分でも個人差があることから、そこでも認識の差が生まれる。
本章ではその認識について、脳ではどのようにして自己と他者を認識しているのか、そのことについて取り上げている。

3.「自分を自分と思えない脳」
人によっては「幻覚」を見ることがある。その幻覚もまた脳機能によってできるのだが、その機能は正しい機能と言うよりも、はたらきに欠陥、あるいは障害から生まれた産物であるという。その幻覚によって「自分が自分とは言えない」ような現象が起こってしまうのだという。

4.「イメージ生成とコミュニケーション」
コミュニケーションにしても言葉を交わすだけではなく、自分自身の持っているイメージを伝えることもまた一つである。そのイメージの生成はどのように行っていくのか、そのメカニズムについて取り上げている。

イメージがどのようにしてつくられているのか、本書は脳機能を中心に取り上げられているが、脳機能を取り上げる際には、脳の細かい機能から、どのように見えるのかという部分から、脳にて得られる情報がどのようにして認知されるかという「認知科学」などが入り組んでおり、難しくなってしまうのだが、本書は全体的にページ数が少なく、なおかつ図解にして分かりやすく説明されているので、脳機能や認知科学を知らない方でも頭にスッと入っていくことができる。