「考える人」は本を読む

私自身読書をライフワークとし、書評をスタートして11年経つ。これまで取り上げてきた書評は3,500冊をゆうに超えたのだが、実際に本のことを全て知っているかというとそうではない。もっと言うと本を読んでいくうちに知的好奇心が増大するようになり、ドンドンと本を読みたくなる。もちろん本を通じて考える糧となる事も数多くある。

もっとも私自身は「考える」事は「焚き火」に通じるものがある。考えると言うことを「火」を起こすためには知識という名の「薪」が必要になる。しかしその薪が多すぎると考える事を鈍くしてしまうことさえある。とはいえ「薪」がないと火を燃やすことはできない。本書はその「考える」要素となる本を紹介しているのだが、哲学・仕事などありとあらゆる角度から本を紹介している。

Ⅰ.「読書を考える」
読書は色々な知識・考え方を得ることができる。しかし読書の方法・ジャンルは人それぞれであり、なおかつそれぞれだからでこそ「読書法」について得られるものがある。それらを取り入れ醸成していくことによって自分自身の「読書」を得ることができる。その糧を紹介しているのだが、読書をして行く中での「本屋」にまつわる本もある。

Ⅱ.「言葉を考える」
読書をすることによって様々な言葉を得ることができる。言葉を紡ぐことによってボキャブラリーが増え、なおかつ自分自身の考え方などをつくる事ができるようになる。そのエッセンスを紹介している本がここにある。

Ⅲ.「仕事を考える」
仕事に関する考え方は仕事の中にもあるのだが、仕事以外の所でもヒントはある。それは本とて例外ではない。自分自身の仕事に関する考え方・働き方などのヒントととなる本が列挙されている。

Ⅳ.「家族を考える」
人は一人では生きていくことができない。多かれ少なかれ「家族」があって、「友人」「仲間」がいて、支え支えられ生きている。その中でも「家族」の形はどうあるべきなのか、そのことを考える糧となる本が紹介されている。

Ⅴ.「社会を考える」
「社会」とひとえに言ってもどのようにまとめていったら良いのか分からない。もっとも自分自身も社会に関する本を色々と読んだり、取り上げたりしていても未だに全くわからない。その「わからない」社会の片鱗を知ることができる糧が本章にある。

Ⅵ.「生と死を考える」
人間には必ず「生」と「死」がある。それを考えることは果てしなく深く、なおかつ答えは見つからない。それは宗教・哲学と言ったことを勉強していても、である。

本は考えるための延長線、私の中での「薪」とも呼べるものである。その本は星の数ほどあるのだが、それを自分の考えから選び、読み、蓄えることによって自分自身ならではの考え方を得ることができるようになる。その糧となる一冊が本書である。