注文をまちがえる料理店

宮沢賢治の代表作である短編集に「注文の多い料理店」がある。それをもじっているのか、実際にあったのか疑問符を覚えたため本書を手に取った。実際に読んでみると間違いなく後者である。本書は実際にあった料理店であり、認知症を抱える方々が接客をすると言うものである。本来であれば注文通りでなければ行けないという概念を持ってしまっているのだが、間違った品がもらっても「まあいいか」と呼べるような雰囲気であり、なおかつ、ここでしか味わえないものを堪能することができる。その物語が本書である。

第Ⅰ部「「注文をまちがえる料理店」で本当にあったものがたり」
認知症を患うことによって働ける場所が限られたり、生活にも支障をきたしたりするようなことが大いにある。最近では医療の進化があり、最新の医療によって治る可能性がある研究も進められているという。しかし、その症状を患っても喜んで働ける場所があり、なおかつ認知症同士の「縁」がある。話はそれだけでない。旅にしても計画通りに進もうとしていても思いも寄らぬ状況になり、予定になかった時間・場所に訪れるようになり、それが思い出になるようなことと同じように、注文とは違うものが出てきたが、それが思い出の味になることもある。その物語を13編収録されている。

第Ⅱ部「「注文をまちがえる料理店」のつくりかた」
介護の厳しい現実に迷いながら、認知症の現状を知ることとなった。その葛藤に苛まれながら認知症の在り方、そして人称であるからでこその「場」をつくろうと考え、「注文をまちがえる料理店」をつくったという。料理店を作ってからも、作るまでも紆余曲折はあったのだが、そこでも認知症の見方も変わっていった。

「注文をまちがえる」というと不謹慎極まりないかもしれない。それが接客業であれば致命的なミスである認識が強い。しかしその固定観念を壊すこともまた、「注文をまちがえる料理店」の魅力であり、なおかつ認知症が働ける場であり、考えを変えることの出来る場である。病気や考え方に関するバリアフリーを求めるのであれば手始めに本書を手に取った方が良いと胸を張って言えるような一冊である。

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