コミュニティナース ―まちを元気にする“おせっかい”焼きの看護師

ナースという言葉も最近はなかなか聞かなくなった。今となっては「看護師」と呼ばれるのかもしれない。

話は変わるが、本書は患者だけでなく、その患者の住む地域を元気にするために働く看護師、いわゆる「コミュニティナース」がいかにしてできたのか、そしてコミュニティナースの活躍とこれからについて取り上げている。

第1章「「何もできない私」がスタートラインに立つまで」
著者の小学生の頃からコミュニティナースになる前の所までを綴っている。元々何も取り柄がなかったのだが、とある体験から「ナースになりたい」という夢を見出した。

第2章「コミュニティナース・デビュー!」
本当の意味での「紆余曲折」を経て、看護の短大に進学を行い、看護師の勉強を始めるにあたり「コミュニティナーシング」に触れたことによって「コミュニティナース」を目指していったという。短大を卒業し「コミュニティナース」としてデビューするまでを本章にて取り上げている。

第3章「広がっていくコミュニティナース」
日本で初めてとなる「コミュニティナース」について協力する方々もいたという。さらには著者の活躍によってコミュニティナースが広がりを見せるという実感があったのだという。

第4章「コミュニティナースに取り組む先進県」
地域によってコミュニティナースの取り組みを積極的にしている所があるという。主に奈良県の地域に取り上げているのだが、どのような所で「先進」なのかも併せて説明されている。

第5章「これがコミュニティナースです!」
本章ではそもそも「コミュニティナース」とはどのような仕事なのかということを取り上げている。患者の病気を治療する一つであるのだが、それ以上にコミュニティを通してナース・患者・地域の結びつきを強めていくというのも一つである。その方法は地域によって様々である。

第6章「全国各地のコミュニティナース奮闘記」
その「様々」であるコミュニティナースの活躍について、全国各地で活躍されている看護師たちがいると言う。本章ではその方々を紹介している。

第7章「コミュニティの未来」
地域の結びつきが希薄化していると言われているのだが、その希薄化を解消するために、そして患者の病気を治療するだけからさらに一歩広げていくためにコミュニティナースがいる。そしてそれは地域の結びつきを強め、これからはナース以外でも「コミュニティ○○」というような存在が増えていくことを著者は願っている。

看護師の活躍を通して患者だけでなく、地域も治療しているイメージが強かったのだが、もっともナースを通してコミュニティを活性化する試みは珍しいとともに、今社会問題となっている地域・コミュニティの希薄化を治すワクチンにもなるのかもしれない。本書はその期待感が高まった一冊である。