愛すること、理解すること、愛されること

男女関係は思っている以上に複雑なものである。その複雑であるからでこそ、一つの物語として醸成されることが大いにある。その物語はいじらしいようなものもあれば、本書のように愛憎(むしろ憎悪の方がウエイトが大きい)を織りなすような物語もある。

本書は5人の男女が織りなす物語であるのだが、謎の死から出てくる事件が男女の愛憎を生むようなものである。その愛憎劇はまさに昼ドラのような雰囲気、いやそれ以上のものを醸している。

そのドロドロとした事件から織りなす関係は、ネガティブでありながらも、男女とは何か、その関係とは何か、男女を理解することとはどういうことなのか、その真理の一つを見出しているようでいてならない。男女関係のむしろ闇の部分が明かされているようなのだが、その闇の部分があってこそ、男女関係の妙があり、「理解すること」の一つなのかもしれない。