あの子どもたちが変わった驚きの授業―授業崩壊を立て直すファシリテーション

本書はとある中学校の授業によって授業崩壊を立て直し子どもたちが変わることができた授業の様子を取り上げている。近年では教育にまつわる問題が絶えず起こっているのだが、教育の舞台の主人公はあくまで「生徒」であり、子どもたちである。その子どもたちをいかにして成長するのか、試行錯誤を行う必要があるのだが、その手助けを行うのが教師の立場としての仕事の一つである。本書はその子どもたちが変わった授業ができるまでのあらましを明かしている。

第1章「O中学校への関わりを決心するまで」
驚きの授業ができはじめた、その最初はある教師からのSOSメールからあったという。メールを受けて、様々なインタビューを行い、現状を知り、そして生徒たちの声を知ることによることからだった

第2章「O中学校プロジェクトの始まり―「問題の実像」を探る」
具体的に驚きの授業をつくるための「プロジェクト」として発足することとなったのだが、授業を参加すること、そして教師たちの理解を得るなどを行うことがアンケート結果などの調査をもって分かってきた。

第3章「「思春期のこころ学」と環境整備―一回目の授業と関わり」
中学生の時期は男女関わらず、思春期と呼ばれる時期である。思春期は心的にも成長をするための「悩み」や「不安」といったことに苛まれ、心的にも繊細なモノになってくるケースが多くある。かくいう私もそういった悩みは思春期の時期は尽きなかった。その「こころ」を授業にして表していくことを一回目の授業では行ったのだという。

第4章「添削指導によるミニ補習(プチスタ)―京都からの関わり」
一回目の授業にて以下のことが分かったのだという。

「・生徒たちはちゃんと授業を受けることができる。→ 授業のやり方次第。
 ・生徒は大人が作業すれば寄ってくる。→ 大人からの働きかけが大事である。
 ・生徒は本当は勉強をしたいと思っている。→ 教えて欲しいと思っている。
 ・生徒たちの基礎学力はかなり低い。→ でも生徒自身は成績を上げたいと思っている。」
(p.105より)

上記のことを見てみると、子どもたちは本当は勉強したいという願望が多かれ少なかれある。教師をはじめとした大人たちはいかにして、子どもたちの勉強に対して背中を押すことができるのかといったことが大事になってくるのだという。そのための一つとして「ミニ補習」として添削指導を行うといった試みも行ったという。

第5章「国語と英語の特別授業―二回目の授業と関わり」
本章では2回目の授業として国語と英語の授業を取り上げているのだが、その両方ともアプローチが非常にユニークであり、なおかつ子どもたちが活発な議論を行ったり、楽しく勉強をしたりするなどの姿が映し出されていた。

第6章「自分から自分への手紙―最後の授業と関わり」
本章を見ていると思わずアンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を思い出してしまった。ユニークな授業を受けた子どもたちが今までの授業と比べてどのように変化をしたのかの感想もあるのだが、他にも勉強に対する姿勢の「変化」も手紙を通じて見ることができた。その「変化」は未来にどのような影響を及ぼしていくのか見てみたいものだと思った章でもあった。

第7章「生徒たちの変化」
授業を受ける前・受けた後でどのような変化があったのか、本章ではアンケート結果と先生へのインタビューをもとにして表している。

第8章「O中学校の実践で使ったWYSHファシリテーション技法」
本書にて取り上げた授業法である「WYSH教育」とは何かを取り上げているのだが、そもそもどのような効果をもたらすのか、そしてよくある授業とは何が違うのかを取り上げている。

子どもたちはふとしたきっかけで勉強するようになる。また子どもたち自身も「変わる」ことができる。可能性が秘めていく中で教師を含めた大人たちはどう背中を押すべきか、本書は教育問題の解決法の一つとして挙げられると言っても過言ではない。学力を上げることも一つであるのだが、その意欲を持たせるために背中を押すこともまた教育問題を良い方向へ進めていくための一手段であり、本書はそれを示している。

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