スマートフォンの環境経済学

技術革新が続く中で環境面での心配はつきものである。それは本書で紹介される「スマートフォン」もまた例外ではない。スマートフォンにおける環境面での心配はどこにあるのか、そしてリサイクルはどのような流れで、メリット・リスクがあるのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第1部「情報通信技術と環境問題」
スマートフォンはまさに「精密機器」の塊である。もっともスマートフォンを解体してみると、1000点以上もの部品によって構成されており(機種によっても異なるのだが、本書はあくまで一例として取り上げている)、中には環境面で負荷を与えるようなものまで存在すると言う。

第2部「生産編」
ハイテク技術の中には「レアアース」と呼ばれるような資源を使うようなものもあり、スマートフォンも例外なく使われている。そのレアアースの採掘によってマレーシアでは放射能汚染が深刻化している。さらには採掘によっては児童労働などの労働問題も起こっており、生産の陰に潜む「闇」をさらしている。

第3部「使用編」
情報機器の使用による環境問題はいくつかあり、その中で電力消費に伴う二酸化炭素排出量の増大などを取り上げている。

第4部「リサイクルは国境を越える」
廃棄物問題を解決するための一つとしてリサイクルがある。そのリサイクルは日本を越えて、海外で行われているというのだが、中国・インドを始めとした国々で行われているのだという。

第5部「展望―グローバルな情報通信と責任ある技術」
技術革新はこれからも続くのだが、その中で環境面においての「責任」を追う必要があるという。その「責任」の中には「バーゼル条約」も含まれている。

スマートフォンは便利な技術であるのだが、その裏には環境面でのリスクもはらんでいる。そのはらんでいる環境リスクはどのようなものなのか、そしてそのリスクをヘッジ(分散)するためにはどうしたら良いか、実際に何を行っているのかが良くわかる一冊である。

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