日本の納税者

日本国憲法には3つの義務が明文化されている。それは「教育の義務(26条2項)」「勤労の義務(27条1項)」「納税の義務(30条)」であり、本書ではその中でも「納税の義務」の実態についてを取り上げている。

第1章「取り残された納税者」
なぜ「納税の義務」が盛り込まれたのか、本章ではそのあらましを取り上げている。ちなみにその「あらまし」は日本国憲法以前の「大日本帝国憲法」が制定される前の所まで遡っている。

第2章「取り締まられる納税者」
納税の義務を怠った場合は、程度によって処罰されることがある。納税のための申告について故意なく漏れてしまった時は「申告漏れ」として扱われ、修正申告を行う必要がある。しかし意図的に申告を行わなかったり、一部隠したりすると「所得隠し」、最悪「脱税」として扱われる。もちろんその疑いがある場合は国税庁、いわゆる「マルサ」が調査に乗り出す。その調査についても「任意調査」から「強制調査」まであるという。そもそもなぜ調査をするのか、そこにはある「判例」があった。

第3章「頼れるものがない納税者」
納税に関しては多くの法律によって定められているのだが、その定めについても解釈が様々であり、法律にあまり精通していない方々にとっては「読んでも分からない」ことがよく言われる。その法律に対しては税理士などの専門家もいるのだが、その税理士でさえも解釈が異なっており、「誰に頼ったら良いか?」という疑念を持つ方々も少なくない。

第4章「払えない人、払わない人、払うべき人」
税金を滞納すると督促されることは当然であるのだが、そこから督促が過ぎると法律により強制的に徴収すると言ったことを行う。それを意図的に無視すると違反による刑事的な処罰を受けることとなる。とはいえ経済的な事情により「支払えない」となると、事前に相談を行う必要があるのだが、柔軟な対応を行うケースもあるという。

納税の義務は誰にでも存在しており、これから税率が10%に引き上げられる消費税もその一つである。もっとも納税をすることによって日本としての国のシステムが成り立っている部分が大きくあり、そのことを考えると納税は必要であるのだが、納税の現状とこれからは国政にもかかわるため、わたしたちは任せっきりではなく、知っておく必要があるのかもしれない。