ここ最近メディアにて「LGBT」といった言葉をよく聞く。「LGBT」とは
「1.レズビアン・ゲイ・バイセクシャルおよびトランスジェンダーを指す語。GLBT
2.広く、性的指向が異性愛でない人々や、性自認が誕生時に付与された性別と異なる人々」(「広辞苑 第七版」より)
とある。もっとも英単語の「lesbian」「gay」「bisexual」「transgender」という4つの単語の頭文字を取っている。性の多様性を表しているだけでなく、性的な傾向もまた表しており、その多様性を理解するための単語とも言える。
本書はそのLGBTとはいったい何なのか、入門書として本質的な理由も含めて述べている。
第1章「良心ではなく知識が必要な理由」
「LGBT」を知る以前に、あなたは性別・性的嗜好についてどのように思っているのかについて問われる。ほとんどの人は「普通」と答えるのだが、そもそも「普通」とはいったい何なのか、そして「普通」や「常識」と言う名の偏見がはびこっており、それが圧力となっている現状としてもある。他にも「良心」と言う言葉でもって普通を押し付けるといったことで、嗜好を持つ人にとって苦痛に他ならない。「普通」や「良心」でなく、それぞれの知識を持つことがマイノリティへの一歩なのだという。
第2章「「LGBT」とは何を、誰を指しているのか」
そもそも「LGBT」は冒頭でも述べたように「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の4つを総称している。各々異なる傾向にあるのだが、その傾向について事細かに取り上げている。
第3章「レズビアン/ゲイの歴史」
レズビアンやゲイは歴史的な観点からちらほら見られるのだが、もっともその言葉が出始めたのは諸説がたくさんあり、定かではない。しかしながら研究を進めていく中で出てくるのは20世紀になるまではそのような描写、考え方は宗教的な観点からタブーとされたことはあるのかもしれない。
第4章「トランスジェンダーの誤解をとく」
そもそも「トランスジェンダー」の定義は難しい。ただ少なくとも「男」や「女」といった割り当てられた性別から外れていることは確かである。例えば「体は男だけど心は乙女」といったこともトランスジェンダーの一つであるが、性的志向は男女それぞれ、両方、どちらでもないといった人もいるため、傾向を紐解くのはなかなか難しい。
第5章「クィア・スタディーズの誕生」
元々「クィア(Queer)」と言う言葉は性的な差別・蔑称とされてきた。しかしここ最近では「LGBT」が認知されはじめており、偏見や差別がだんだん無くなっている。とはいえ、未だにそういった差別が残っているのもの事実。そのため理解を示すために「クィア・スタディーズ」が生まれたのだという。
第6章「五つの基本概念」
本章のタイトルの概念は
・パフォーマティヴ(ィティ)
・ホモソーシャル(ホモソーシャリティ)
・ヘテロノーマティヴィティ
・新しいホモノーマティヴィティ
・ホモナショナリズム(いずれもp.132より)
とある。ホモというと男性同士の恋愛をイメージされる方も多いかもしれないのだが、そもそもは「ホモセクシャル」から来ており「同性愛」を表している。その同性愛を理解するための概念として上記の5本柱である。
第7章「日本社会をクィアに読みとく」
ここ最近では地域的に「同性婚」が認められるようになった。またメディアを通じて同性愛を告白するような傾向も見られており、恋愛傾向や志向などの理解が高まりだしている。そこで日本社会における制度は「クィア」にて通じるところはどこにあたるのかを紐解いている。
第8章「「入門編」の先へ」
知ることは容易なようでいて、けっこう難しい。その「難しい」理由には、それぞれの「普通」「常識」などの固定観念が妨害してしまうためである。その固定観念を捨てて、様々な性的志向を理解するために何をしたら良いのかを提示している。
LGBTはここ最近定義され、理解されはじめている。しかしそれまでもまた傾向はあったのだが、固定観念や宗教的な理由により、頓挫してしまうことが幾度となくあった。もっともセクシャルマイノリティを深めるのは本書のみならず、それぞれの理解が求められる。
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