「統合失調症」とは、
「妄想や幻覚などの症状を呈し、人格の自律性が障害され周囲との自然な交流ができなくなる内因的精神病。多く青年期に発病し、破瓜型・緊張型・妄想型などがある。旧称、早発性痴呆・精神分裂病」(「広辞苑 第七版」より)
とある。一般的に言われる「うつ」と呼ばれる症状と共通しているのが「精神病」の一種である一方で、異なる点は幻覚や妄想なるものが生み出されるところに特徴がある。また「うつ」とは異なり精神病の中では歴史は深い。本書はその歴史と症状、さらには治療に至るまでのことを取り上げている。
第1章「統合失調症とは」
元々「統合失調症」と言う名前がつけられたのはごく最近のことであり2002年である。それまでは先述の出典にある旧称の通りである。
第2章「統合失調症の症状」
では、どのような症状なのか、それは精神的と言うよりも感情的・思考的にまとまりがつかなくなる、思考や思考過程に障害が生じるといったことが挙げられる。
第3章「統合失調症の経過」
では、どのように病状が経過していくのか、人によって様々であるものの、出典にある幻聴や妄想もあれば、幻覚など、妄想を深掘りすると「誇大」や「被害」など多岐にわたるため、何処から生まれ、経過を辿っていくかが難しい。
第4章「他の精神科の病気との違い」
精神的な病気の種類にしても、統合失調症にしても、分類すると多岐にわたり、治療法も異なる。また病気の鑑別にしても、種類によって細かく分かれており、また病気のように装う、いわゆる「詐病」との区別も求められる。
第5章「原因とリスク因子」
根本的な原因については今もなお分かっておらず、罹患者の数だけ原因やリスクがつく。もちろん昨今の社会システムにも統合失調症になる原因があるという。
第6章「治療」
かつて精神病院というと、偏見がもたれがちであるのだが、そのもたれる中でどのような診療があるのかと言うことを取り上げている。その中には精神医療ならではの「難しさ」も写真と共に表されている。
第7章「歴史と社会制度」
統合失調症の罹患者は古代から存在したのだが、その病気のメカニズムについて体系づけたのは19世紀のころである。トイツの医学者・精神学者であるエミール・クレペリンが精神障害についての分類を行い、早発性痴呆(現在の「統合失調症」)をカテゴライズしたのが始まりとされている。その前後から病気の傾向についての研究を行われてきた一方で治療法の変遷もまた取り上げている。
第8章「病識と妄想―統合失調症特有の問題について」
しかしながら、統合失調症は病気ではあるものの、病気のように扱われない、むしろ差別の温床にされるようなイメージがもたれる。もっとも「精神病」と呼ばれるものも、差別にある中で、統合失調症はその中でも特に扱われることが多くある。その問題点についてを取り上げている。
第9章「社会とのかかわり」
統合失調症と社会の関わりは前章にある偏見があり、非常に難しく、差別とも戦っていく必要があった。しかしながら、精神病と同じく、病気に対する認知が深まるようになっていったものの、未だに無知もあれば、「偏見」も存在するのが現状としてある。
統合失調症はまずは「正しく知られる」ことが大切になってくる。その正しく知られるためにはどうしたらよいか、その当事者や医療従事者の声を聞く、あるいは本書のように統合失調症とは何かを知ることが大切になってくる。
コメント