貧しい家庭に生まれ育ち、いじめに遭った少女はピアノ教師に助けられた。助けられた中でスケッチブックを与えられ、鍵盤を描くようになり、ピアノと出会うこととなった。本書のタイトルにある「紙のピアノ」のごとく。ピアノ教師からピアノを習い、技術を磨いていった後に、少女は音大に入り、ピアニストになるためコンクールに挑むこととなった。
その理由は助けてくれた教師のために、そして教師・生徒以上の関係を築くために、という「想い」がひしひしと伝わってきた。許されるか、許されざるか私にはわからないのだが、どん底の状態から助けてくれたきっかけとなり、なおかつ人生としての意味を見出した少女の一途な愛、ピアノに対する想い、教師に対する想いが全て詰まっていた。そしてその想いの結末はなんとも言えない感触があった。とはいえ「『想い』の強さ」というものをまざまざと見せてくれた一冊であった。
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